私たちのまわりには、太陽の光を使ってエネルギーを蓄える生物や、その反対に蛍やクラゲのように発光する生物がいます。また、人間の目も光を感じて情報を脳に伝えています。これらの現象は、光を受け止めたり出したりする分子が、自然界では活躍しているから起こるのです。光を受け止めた分子は一種のエキサイトした状態になり、光を再び出したり、そのエネルギーを分子の変化に使ったりしています。今回は、目に見える実例を紹介しながら、エキサイティングな分子の性質を一緒に考えてみたいと思います。そこには、レーザーや光で記録するディスクの仕組みを考えるヒントがあるかもしれません。

開催日 : 2009年10月31日(土)14:00~16:00
会場 : 青森県八戸市 八戸市公民館2階会議室
ポスター(PDF 347.0 KB)
福村先生は、光を使って分子を調べる方法、光で起こる反応の経路に興味を持って研究しています。これは、物理化学とよばれる分野で、自然現象の理解から、レーザー加工のような産業応用まで幅広く関係しています。福村先生は八戸市の出身で、八戸高校時代に良い物理の先生、良い化学の先生に恵まれたことから、どちらにも関係する研究分野を選んだとのことです。

光のエネルギーが励起レベルより高くても励起すると聞いたが、励起して余ったエネルギーはどうなるのか
余ったエネルギーは分子の振動や回転などの運動エネルギーとして使われます。この結果、余剰エネルギーは熱に変わります。
分子の形が変わって光が変化するのは、波によることなのか、粒子によるものか?
分子の形が変わるような化学反応が起きるときには、一般的に光の波は完全に消えてなくなります。しかもある一定の波長よりも短い光(色でいうと赤より黄、黄より緑、緑より青)でしか光は吸収されません。このことから、分子に光エネルギーが吸収されるときは、光は粒子としてふるまっていると考えられます。実際に反応する分子の数を測定すると、光の粒子数に比例していることがわかります。波のエネルギーでは無いのです。
もし波としてふるまっていることによるならば、エネルギーが分子に吸収された分だけ残った光の波が観測できるはずです。またエネルギーの低い赤い光でも、強くすれば紫外線を当てたときと同じような反応が起こったりするはずです。こういうことは、普通の照明光では観測されません。
例えば、日焼けは紫外線で起こりますが、赤外線を強くして起こす皮膚の火傷は全く別の現象です。弱い紫外線でも少しづつ浴びていれば皮膚は黒くなるはずですが、これは赤外線を同じエネルギー当てても起こらないのです。つまり、物による光の吸収は、光の粒子としての性質が現われていると考えても良いでしょう。
実は、この問題はとても難しいのです。光がとても強くなると波としても分子の形を変える場合があります。また波と考えて計算すると光の吸収を説明できることもあります。東北大学には、こういう事を突き詰めて研究している研究室もあります。いっしょに大学で研究してみませんか。