ウニは鋭い棘(とげ)と固い殻の鎧(よろい)をまとい、英名でsea urchin “海のハリネズミ”とよばれる。繁殖期には、鎧の中は私たちが食用とする生殖巣で満たされる。日本は世界で漁獲される8割以上のウニを食する最大の消費国である。しかし、ウニが海底でどのように生活しているのかはほとんど知られていない。海藻と共生してウニの数が増減し、成長や生殖巣の発達も左右されて資源が変動する。沿岸岩礁海底の生物社会をも大きく変えるウニのダイナミックな世界を、世界の海底を散歩しながらみてみましょう。

開催日 : 2010年11月16日(火)18:00~19:45
会場 : 気仙沼市地域交流センター大ホール(ワン・テン庁舎2階)
ポスター(PDF 416.8 KB)
1954年生れ。福岡県出身。東北大学大学院農学研究科教授。78年東北大学農学部卒業。北海道立函館水産試験場、北海道立中央水産試験場、北海道原子力環境センターをへて97年東北大学農学部助教授、2010年より現職。スキューバ潜水歴31年。研究のアイデアは現場での観察と漁業者の話を聞くことに尽きる。ウニの生物学・生態学・水産学に関する著書多数。

ウニはどれ位食べても人へ影響はないのでしょうか。魚卵と同じコレステロールが上がるのでしょうか。
コレステロールの含量は、すじこ、イクラ、数の子などの魚卵に比べてはるかに少なく、イカ・タコと同じくらいです。しかし、ホタテガイやカキなどの貝類に比べると多く含まれます。ウニは元来珍味ですので食べ過ぎないようにしましょう。
当地方で取れるバフンウニの商品化ができないものでしょうか。
バフンウニは福井県東部では塩漬けして瓶詰めした「越前ウニ」として1600年代に製造されています。また、山口県ではアルコールを加えて瓶詰めした「下関ウニ」として1800年代に製造されたいずれも銘品です。バフンウニは雌(卵巣)の成熟した卵にフルケリミンとよばれる大変苦いアミノ酸が蓄積するので生で食べません。ウニの生殖巣を生で食する食習慣のある東北・北海道では全く漁獲されていません。東北太平洋沿岸でも高密度で生息しているので北国の人々にも好まれる独自な加工品を開発して利用していただきたいと思います。
海流の変化で生態系が変化するが、戻すことはできるのでしょうか。
現在、地球温暖化の影響により北太平洋の沖合は栄養のある低層の海水と表層の海水が混合しづらくなり、表層は高温で貧栄養の状態になっていることが確認されています。
海藻の生育する沿岸の岩礁域でもコンブの仲間の生育場所が岸近くに大きく縮少しました。地球温暖化の原因となる二酸化炭素の放出量を制限していくことは大変重要です。私たちの研究では、生態系の復元にまではいたっておりませんが、高水温であっても沿岸に栄養を加えてやることによってコンブの生育が拡大することが分かってきました。