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2008年12月12日 第42回サイエンスカフェ

複葉翼でサイレント超音速機を作る

当日の様子

 大林茂教授のグループは、2枚の向かい合った翼をもつ超音速旅客機「MISORA」を提案しています。MISORAの2枚の翼は、内側に衝撃波を発生させ相殺させることで、ソニックブームを従来の25%に抑えることができるそうです。従来の超音速旅客機は、衝撃波と呼ばれる強い空気の波を発生させながら飛行するため、間近で雷が落ちたかのような「バンバン」という音を鳴り響かせる「ソニックブーム」を引き起こしました。そのため超音速飛行は、海の上だけに制限されてきました。
 MISORAのソニックブームが地上で出す音は、「コンコン」というノックの音程度です。2枚の翼が可能にした新しい超音速飛行法を紹介します。

開催情報

開催日 : 2008年12月12日(金)16:30~18:15
会場 : 白石中央公民館
後援 : 白石市、白石市教育委員会

大林 茂(おおばやし しげる) 東北大学流体科学研究所教授


大林教授は、航空宇宙工学や機械工学の分野で流れのシミュレーションと設計への応用を専門にしています。大学院を卒業してから7年間NASA Ames研究所で過ごし、1994年から東北大学に勤務しています。航空宇宙学会、流体力学会、計算工学会の理事や、文部科学省航空科学技術委員会委員を務め、中でも航空宇宙学会では「サイレント超音速旅客機研究会」を立ち上げ、日本の超音速機研究推進に努めています。


当日の様子

QANDA

新幹線の先も同じような丸みのある先をしていますが、これもソニックブームを減らすための工夫と同じ理由なのでしょうか。
 そうです。新幹線が高速でトンネルに突入すると、トンネル内にある空気を押すことになり、空気の波ができます。飛行機の場合は、周りが広い空間ですので超音速で移動しない限り、この波が衝撃波となることはありません。しかし、トンネル内では波は広がることができないので、新幹線の速度がある程度以上速くなると、この空気の波はトンネル内を伝わる間に変形して「トンネル微気圧波」と呼ばれる特別な衝撃波となります。この波がトンネルの反対側の出口から出て、ソニックブームと同じように騒音や振動を引き起こします。空気の抵抗を減らしつつ、「トンネル微気圧波」を抑える形がN700系のように独特の丸みを帯びた形になります。


はねの間に垂直に空気が入っていった時に、衝撃波を相殺する上で障害にならないのか?
 空気の流れは障害ではありません。むしろ、衝撃波は空気の波ですから空気が流れないとできません。翼の上の流れが微妙に曲がることで衝撃波が作られ、ちょうど良い位置に向かい合わせに翼を置くことで衝撃波を干渉させるできます。このときできる波の向きと、空気の流れは同じ方向ではなく、空気に流れに一定の傾きを持って波ができます。その傾きを理論的に計算することで、翼の形や配置を決めることができます。


もしMISORAが出来た時、それが爆撃機に応用されたりしませんか?
 残念ながら、ほぼあらゆる技術は軍事利用が可能です。皆さんがいま利用しているインターネットも軍事研究から始まりました。その意味で、MISORAも例外ではありません。でも、MISORAが爆撃機に応用されることを心配するのではなく、爆撃機のいらない世界を作ることを考えましょう。


昔々エアーチューブ上を飛ばす高速交通機関のアイデアがあった。今は、リニアでM0.5?か。このようなものにも今回の理論が応用できるのか?
 はい、リニアは新幹線よりさらに高速ですので、空気の流れや波をよく考えて作る必要があります。このため、コンピュータシミュレーションもすでにたくさん使われています。エアーチューブの高速交通機関は、チューブの中を真空にするという話だったと思います。この場合、空気がありませんので車両の設計は楽ですが、例えば東京から大阪まで全部真空のチューブを作るとなると、いったいいくらかかるのか、想像もつきません。


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