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2010年10月29日 第64回サイエンスカフェ

花の中のミステリー~めしべは自分と他人の花粉を識別できる!~

当日の様子

植物も動物も「いきもの」であるので、「近親交配」が起きると、生存力が低下して、その種(しゅ)の存亡に関わってくる。ヒトであれば、三親等以内は結婚してはいけないなど、ルールが存在する。では、植物にはそんなルールが存在するのだろうか。植物では、1つの花の中にある花粉が、そのめしべにつく可能性が高く、「極めて高い近親交配」が起きることが予想される。この植物に備わっている不思議なチカラ、それが、「自家不和合性」という花粉と雌しべのコミュニケーションである。今回の講義では、そんな花で起きている彼氏と彼女のコミュニケーションの実体を概説する。

開催情報

開催日 : 2010年10月29日(金)18:00~19:45
会場 : せんだいメディアテーク

渡辺 正夫(わたなべ まさお) 東北大学大学院生命科学研究科 教授


1965年愛媛県今治市生まれ。1988年東北大学農学部卒。1991年博士課程中途退学、同年東北大学農学部助手。1994年博士(農学)取得。 1997年岩手大学農学部助教授。2005年より東北大学大学院生命科学研究科教授(現職)。専門は植物生殖遺伝学。現在はアブラナ科植物の自家不和合性における分子機構解明、高等植物の生殖器官分化とマイクロRNAの機能解析、イネ穂孕期耐冷性因子の網羅的・遺伝学的解析を中心に研究。こうした研究活動と平行して、100件以上の出前講義を行い、東北大学「科学者の卵 養成講座」実行委員会・運営委員を担当。SSH(Super Science High School)運営指導委員会委員、学校評議員等も併任。


当日の様子

講演中の様子 参加者の皆さん 講演中の様子 ファシリテータの皆さん

QANDA

ソメイヨシノのような遺伝子がどの木も一緒のものはどうして花を咲かせるのか。
 ソメイヨシノは、さし木で今のように増えています。つまり、クローンです。
 花が咲くまでは、自家不和合性は関係ありません。自家不和合性はあくまで、花が咲いて、そのあとに種がとれるかと言うことを考えるときに、必要な性質です。なので、花が咲くと言うことについては、自家不和合性は影響しません。


大昔の植物は、自家和合性 or 自家不和合性どちらが最初だったのでしょう?
 大昔の植物をどう考えるかが問題ですが、自家不和合性は、被子植物にしかありません。裸子植物にはないと言うことです。つまり、胚珠が子房で覆われて、雌しべが複雑になっていこうにできたと言うことになります。
 では、その初期の被子植物が、自家不和合性であったのか。これも、想像でしかありませんが、渡辺は自家不和合性だったと考えています。
 もちろん、全ての植物が、自家不和合性であったとは思いません。
 自家不和合性でないような、分類単位の「科」が存在します。
 被子植物ができたとき、自家和合性、自家不和合性が混在していたというのが、想像されます。


自家不和合性が誰(?)のための選択か?植物が多様性の目指す方向は何か?
 自家不和合性は、あくまで植物自身が多様性を高めるためです。
 人類、というか、ヒトのためではありません。
 植物であれ、動物であれ、DNAを媒体としている生き物は、多様性を高めるようにセットされていると思います。基本的には。
 もちろん、品種改良で、多様性が低くなっても生きていける作物も存在はしますが。


環境に適応するのとの関係はどうなのか?
 環境が良ければ、自分の花粉で種をつける、自家和合性の方がその種を増やすことができるので、その植物にとっては有利です。
 でも、いつ悪くなるかは分かりません。そのときのために、一定の多様性をもって、環境に適応しているのだと思います。


自家不和合と品種や種レベルでの受粉の可否のメカニズムの違い
 自家不和合性は、同種内での多様性高めるためのしくみです。
 品種は、同種内での多様ですから、自家不和合性の遺伝子が同じであれば、品種が違っても、自家不和合性は機能して、種はできません。
 種のレベルというのは、同種と言うことであれば、それは自家不和合性ですが、異種の認識となると、今の科学では、分子レベルで理解されていません。
 これからの研究課題です。


植物に免疫系は有るのか。
 免疫と言うことをどう定義するかですが、抗体のようなものができるかと言うこと、そのような遺伝的なしくみがあるかというと、それはありません。
 ただ、もちろん、植物にも、病気に対する抵抗性はあります。植物の病気と言われても、ぴんと来ないかもしれないですが、ウィルス、カビなどが植物にも感染します。そうしたものに対する抵抗性を持つための遺伝子は植物に存在します。その意味では、免疫系は存在します。


植物は自然の状態でもクローンが出来るが(イモ等)、動物は、作為的なものを除いて何故クローンは出来ないのか。
 植物は、イモでなくても、多くの場合、さし木で増やすことができます。
 動物は、今でも何か仕掛けをしないとクローンはできません。なぜなのか。
 理由は分かりません。2つの違いは、自ら動けることとそうでないこと。
 動けない植物は、種をつける以外にも自分の子孫を残す方法がないと花粉がないときなど困るので、クローンのようなものでも、増やせる。
 でも、動物は、動けるので、そうした機能を持たなかったのか、失ったのか。
 それは分かりませんが、少なくとも、渡辺はそう考えています。

※ 回答はあくまで渡辺正夫教授のコメントによるものです。


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