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電圧で磁化方向をエネルギー損失なく高速に制御

電気の力で物質の磁化を変化させる最も一般的な方法はコイルを用いた電磁石であ り、様々な場面で使われています。しかし、コイルの形成は集積したデバイスに不向 きなことから、電磁石に代わる方法が盛んに研究されています。例えば、次世代の不 揮発性メモリの候補の一つである磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)では、隣接す る強磁性体から電流を流すことによって磁化を制御しています。しかし、この方法で は大電流を流すことが必要であり、多量の熱が発生してしまいます。これは、素子の 温度上昇およびエネルギー消費という二つの観点から問題となります。一方で、電流 をほとんど流さない絶縁体における磁化を電気的に変化させる方法も、約50 年前には 見出されていました。絶縁体を利用すると電力消費は桁違いに小さくできます。しか し、これまでに見出された絶縁体での電場による磁化変化は大変小さく、応用には全 く向きません。

今回、東北大学多元物質科学研究所は、磁化を持ち、かつ、電気を流さないような ある種の物質に電場を作用させることによって、磁化方向が最大でプラスマイナス30 度変化することを発見しました。さらに、電場印加に対する磁化方向の変化が1万分 の1秒より短い時間で可能なことや、磁化方向変化を1千万回繰り返した後でも全く 減衰なく同じ大きさの効果を示し続けることも確かめました。このように繰り返し可 能で高速な、電気による磁化方向制御は世界で初めてです。

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