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「ダーウィンが提唱した自殖の進化」を解く鍵は花粉遺伝子の変異

近交弱勢を防ぎ、植物種の多様化に寄与したしくみのひとつである「自殖」と「他殖」を制御する「自家不和合性」。表記研究では、その自家不和合性の鍵遺伝子の変異が、アブラナ科植物シロイヌナズナを自殖可能な自家和合性種に進化させたことを証明し、またその鍵遺伝子を改変することで再び自家不和合性にすることに世界で初めて成功しました。
この成果は、東北大学大学院生命科学研究科・五十川祥代大学院生、諏訪部圭太博士研究員、渡辺正夫教授と、スイス・チューリヒ大学の土松隆志大学院生、清水健太郎准教授ら国内外の8つの大学との共同研究によるものです。

ダーウィンは1876年に、交配相手が少ない条件下では自殖が繁殖に有利な性質となるという仮説を提唱していました。今回明らかにした遺伝子配列から、シロイヌナズナの自家和合性の広まった時期を推定したところ、氷河期と間氷期の周期によって分布が急速に変化し、交配相手が少なかったと考えられる時期に一致することがわかりました。この結果はダーウィンの仮説を裏付けるものです。

本研究は、科学研究費補助金、特定領域研究・植物ゲノム障壁「受粉反応時に「ゲノム障壁」を誘起する花粉・柱頭因子の分子遺伝学的解析」(研究代表者:渡辺正夫)、日本学術振興会科学研究費若手研究(S)「アブラナ科植物の自家不和合性における自己・非自己識別機構の分子基盤」(研究代表者:渡辺正夫)の一環として得られたものです。

本研究成果は、英国の科学雑誌「Nature」の電子版(Advance OnlinePublication, AOP) に、日本時間の4月19日午前2時 (ロンドン時間の4月18日午後6時)に掲載されます。


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[お問い合わせ先]

東北大学生命科学研究科

教授 渡辺 正夫 (わたなべ まさお)

電話番号:022-217-5681

E メール:nabe*ige.tohoku.ac.jp (*を@に置き換えて下さい)

ホームページ:http://www.ige.tohoku.ac.jp/prg/watanabe/

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