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地球温暖化のなかでの作物の安定供給に資する新たな研究成果(生命科学研究科 東谷篤志教授)

地球温暖化のなかでの作物の安定供給に資する新たな研究成果
(植物の高温障害による雄性不稔を植物ホルモンオーキシンの散布により回復)


 近年の地球規模での温暖化に伴い、世界全体として、コムギやオオムギ、トウモロコシなどの収量は明らかに低下していることが報告されています。
 本研究では、植物の高温障害による花粉形成不全のメカニズムについて研究を進め、初期の発生過程にある葯で特異的にオーキシン量ならびにそのシグナル伝達が低下すること、その要因としてオーキシンの生合成に関わるYUCCA遺伝子の発現が高温で抑制されることを明らかにしました。さらに、オーキシンを散布することで高温障害を完全に回復させ、正常な花粉が形成されること、その結果、種子を結実させることに世界ではじめて成功させました。これら高温障害とその回復は、単子葉(オオムギ)と双子葉植物(アブラナ科植物シロイヌナズナ)の両方で確認され、広く植物全般に保存された事象であり、様々な作物にも応用できる技術と考えられます。
 本成果は、東北大学大学院生命科学研究科の当該研究グループが約10年間かけて明らかにしてきたもので、特に、阪田忠博士研究員、押野健博士、安彦真文博士、三浦慎也修士、苫米地真理修士らの大学院生との研究によるものです。

将来的にこの実験成果を応用することにより、非遺伝子組換えによる簡便な方法で、地球規模の温暖化においても様々な作物を安定的に供給することにつながると期待できます。

本研究成果は、米国科学アカデミー紀要「Proceedings of National Academy of Sciences of the United States of America」の電子版(Early Edition: EE) に、米国東部時間の4月26日午後3時(日本時間:翌27日午前4時)に掲載されました。また国際特許PCT/JP2010/50101(東谷篤志、渡辺正夫、阪田忠)も出願しています。

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