本文へ
ここから本文です

絶縁体からの熱電発電に成功 -グリーン・省エネデバイス開発に道-

東北大学金属材料研究所の齊藤英治教授(日本原子力研究開発機構先端基礎センター客員グループリーダー兼任)、東北大学大学院博士課程2年の内田健一氏、日本原子力研究開発機構先端基礎研究センターの前川禎通センター長らは、温度差をつけた絶縁体から電気エネルギーを取り出す新しい手法を発見しました。

近年、金属や半導体に温度差をつけると温度の勾配に沿って電圧が発生する現象「ゼーベック効果」を利用した熱電変換素子が、環境負荷が小さく高い信頼性を有するエネルギー源として期待されています。一方で、この現象は導電体中でしか生じず、伝導電子を介した熱伝導によるエネルギーロスが発電効率を下げてしまうため、熱電変換素子の実用化の範囲は非常に限定されていました。

今回、齊藤教授らは絶縁体である磁性ガーネット結晶を用いて、温度差によって電子の磁気的性質「スピン」が流れる現象「スピンゼーベック効果」が絶縁体中で生じることを発見しました。すでに、絶縁体中で生じたスピンの流れを、絶縁体に金属薄膜を取り付けることによって電気エネルギーに変換できることを明らかにしており、これらの二つの原理を用いることで、従来は不可能だった絶縁体ベースの熱電変換素子をつくることができるようになります。

本研究成果によって、熱伝導によるエネルギー損失が小さい絶縁体を熱電変換素子に利用できるようになり、熱電変換素子の設計自由度や設置可能場所の拡大、及び環境に配慮した電力技術開発への貢献が期待できます。

本研究成果は、英国科学誌「Nature Materials(ネイチャーマテリアルズ)」のオンライン版(9月26日付)に掲載されます。

 

詳細(プレスリリース本文)PDF

 

[問い合わせ先] 

(研究内容について)

金属材料研究所 量子表面界面科学研究部門 教授 齊藤 英治

TEL: 022-215-2021

 

金属材料研究所 量子表面界面科学研究部門 内田 健一

TEL: 022-215-2023

 

独立行政法人日本原子力研究開発機構 先端基礎研究センター センター長 前川 禎通

TEL: 029-282-5093

 

(報道担当)

金属材料研究所 総務課庶務係主任 小玉 亨

TEL: 022-215-2181, FAX:022-215-2184

 

独立行政法人日本原子力研究開発機構 広報部次長 須賀 伸一

TEL:03-3592-2346, FAX:03-5157-1950

このページの先頭へ