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物質の中の電子の広がりを放射光X線を用いて解明

 物質の中で電子がどのようにふるまっているかを知ることは、超伝導や磁性、誘電性のなぞを解明するうえで最も基本的な情報です。とくに物質中の電子の広がりは“電子軌道”とよばれ、電子の動きやすさの方向や相互作用の仕方を決めるうえで重要な役割を果たしています。理学研究科物理学専攻・固体統計物理学講座の石原純夫准教授の研究グループと日本原子力研究開発機構、高エネルギー加速器研究機構、国際高等研究所の研究グループは共同研究により、物質の励起状態の電子の広がりの様子を放射光X線を用いて調べる方法を開発しました。

 SPring-8と呼ばれる大型放射光施設のリングから出てくるX線は、光の振動方向(偏光方向)がそろっています。今回このようなX線を物質に当てて出てくるX線の偏光を詳しく調べることで、物質中のどの軌道からどの軌道へ電子が励起されたかを識別することが可能であることを理論的に調べ、KCuF3と呼ばれる物質においてこれを実証しました。今回開発された共鳴非弾性X線散乱の偏光特性と呼ばれる方法を用いることで、超伝導や磁性、誘電特性などの様々な物性・機能に関与している電子軌道の種類を容易に決定することができ、これらの機能発現の解明が加速されるものと期待されます。

 本研究成果は米国物理学会誌 ”Physical Review B”のRapid Communications にEditors’ Suggestionとして6月14日(現地時間)にオンライン版に掲載されました。  

 

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[問い合わせ先]  

 東北大学大学院理学研究科物理学専攻

  准教授 石原純夫(いしはらすみお) 電話番号 022-795-6436

 独立行政法人日本原子力研究開発機構

  研究副主幹 石井賢司(いしいけんじ)  電話番号 0791-58-2643

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