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物質中の電気分極を制御することに成功 -強弾性や負熱膨張も実現-

【要点】

  • 正方晶ペロブスカイト酸化物の構造の歪みを制御
  • 通信や半導体分野で利用できる熱膨張しない新たな物質の開発に道
  • 同様の構造を持つ鉛を含まない化合物への応用を期待

【概要】

東京工業大学 科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所の東正樹教授、尾形昂洋大学院生、山本孟大学院生(現・東北大学助教)、科学技術創成研究院のJürgen Rödel(ユルゲン・レーデル)特任教授(ダルムシュタット工科大学教授)、神奈川県立産業技術総合研究所の酒井雄樹常勤研究員らの研究グループは、バナジン酸鉛(PbVO3)の一部をクロム(Cr)に置換して、電気分極(用語1)の大きさを制御することに成功した。またこの物質が応力によって結晶の方位が変化する強弾性(用語2)や温めると縮む負熱膨張(用語3)を示す事も確認した。新たな機能性物質の開発につながる成果だ。

同研究グループにはその他に、同大学のZhao Pan(ザオ・パン)博士研究員、西久保匠大学院生、ダルムシュタット工科大学のSatyanarayan Patel(サチャナラヤン・パテル)博士研究員、Peter Keil(ピーター・ケイル)大学院生、Jurij Koruza(ユーリ・コルツア)博士研究員、高輝度光科学研究センターの河口彰吾研究員が参加した。

この成果は、1月17日(米国時間)に米国化学会誌「Chemistry of Materials」のオンライン版に掲載された。

図1 PbVO3の結晶構造。陽イオンであるPb2+、V4+と陰イオンのO2-の重心が一致しないため、電気分極を有する。

【用語説明】

(1)電気分極:物質中で陽イオンと負イオンの重心がずれるため生じる電荷の偏り。コンデンサが電気を貯める能力の目安となる。

(2)強弾性:応力の印加によって、結晶の分極方向が変化する性質。

(3)負熱膨張:通常、物質は温めると体積や長さが増大する。これを正の熱膨張という。しかし、一部の物質は、温めることで可逆的に収縮する負熱膨張の性質を持っており、これはゼロ熱膨張材料を開発する上で重要となる。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

<研究に関すること>
東北大学 多元物質科学研究所 助教
山本 孟(やまもと はじめ)
Email: hajime.yamamoto.a2*tohoku.ac.jp (*を@に置き換えてください)
TEL: 022-217-5355
FAX: 022-217-5353

<報道に関すること>
東北大学 多元物質科学研究所 広報情報室
Email: press.tagen*grp.tohoku.ac.jp (*を@に置き換えてください)
TEL: 022-217-5198
FAX: 022-217-5835

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