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腰痛の有訴に1.1~1.2 倍の社会経済的格差

【研究のポイント】

  • 日本の高齢者において、腰痛の有訴において社会格差があることが確認されました。
  • 低学歴・肉体労働職に長く従事・低所得・低資産の高齢者ほど有意に腰痛を有していました。
  • 腰痛の対策作りには単に身体機能・構造面へのみ介入するのではなく、社会的な背景にも目を向けた対策を講じることが重要であることが示唆されました。

【研究概要】

腰痛は要介護状態を発生させ健康寿命の短縮に大きく影響を与えている症状の一つです。近年、身体機能や構造(筋力低下など)のみならず、心理社会的要因もまた、腰痛と関連していると考えられています。しかしながら、教育歴や所得による、腰痛の有訴率格差が日本の高齢者にあるかはほとんど明らかになっていません。本研究では、65歳以上の約26,000人を対象に、過去の社会経済状況(教育歴、最も長く就労した職業:最長従事職業)や現在の社会経済状況(所得、資産)と過去1年間の腰痛の有訴に差があるかを検証しました。その結果、最も所得の高い群に比べて最も低い群で、約1.2倍腰痛を有している人が多いことがわかりました。また、「専門・技術職」に長く従事していた群に比べて「肉体労働」に従事を長くしていた群で、約1.1倍腰痛を有している人が多いことがわかりました。教育歴や資産においても同様の格差が認められました。腰痛を単に、身体機能面や構造面の問題としてとらえるのではなく、社会的な背景にも目を向けた対策を講じることが重要であると考えられます。支援が必要だと考えられます。

本研究成果は2019年1月21日に国際科学誌International Journal for Equity in Healthに掲載されました。

  • 年齢、性別、同居の有無、婚姻状況、筋骨格系疾患の有無、喫煙歴、飲酒歴、中等度の運動習慣、BMIの影響を調整しています。
  •  * 印は統計的に有意な関連があったことを示しています。

※1 Q1:所得が最も高い群、Q4:所得が最も低い群を表しています。2013年JAGES所得データより4分割しました。

※2 専門:「専門・技術職」事務職:「管理職」「事務職」肉体労働:「販売・サービス業」「技能・労務職」「農林漁業職」就労無:「職に就いたことがない」と回答した群を表しています。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

東北大学大学院歯学研究科
国際歯科保健学分野
助教  杉山 賢明 (すぎやま けんみょう)
電話 : 022-717-7639
E-mail : ksugiyama*med.tohoku.ac.jp (*を@に置き換えてください)

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