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地震による爆発的な水の蒸気化が引き起こすシリカナノ粒子の生成 ―地震による瞬間的な鉱脈形成のメカニズムを示唆―

【発表のポイント】

  1. 地震の瞬間に断層内で起こると考えられる高温流体の急減圧(フラッシング)を特殊な実験装置を用いて実現し、地殻成分を溶かし込んだ流体からアモルファスシリカのナノ粒子が瞬間的に生成することを発見。
  2. 生成したシリカナノ粒子は、400℃以上の高温流体が存在する地殻環境において、短期間(1日以内)で石英の微粒子へと変化することを発見。
  3. 地震によって断層内で高速の鉱物析出が起こることが示され、地震発生と鉱脈形成とをつなぐ新たな物質科学的な地震モデルの確立が期待される。

【概要】

東北大学大学院環境科学研究科の岡本敦准教授、土屋範芳教授、平野伸夫助教、本宮憲一技術職員、修士課程学生の新部貴理氏、元大学院生の天谷宇志氏は、地震が発生した時の岩石―水反応を理解するために、特殊な実験装置を用いて、地下の高温高圧環境で岩石の成分を溶かし込んだ水のフラッシング実験を実施しました。その結果、流体の圧力の減少に伴って爆発的な水の蒸気化がおこり、一瞬でアモルファスシリカのナノ粒子が生成することを発見しました。また、高温の地殻環境において、このようなアモルファス粒子は非常に短期間に安定な石英の微粒子へと変化することを見出しました。このような短命なシリカ粒子は断層内を高速で移動し、亀裂を閉塞させるために、断層の性質を大きく変化させると考えられます。このような現象は、金鉱床などの地下の鉱脈が地震とともに瞬間的に形成されることを示唆しており、地下資源の形成と地震活動を結びつける新しい研究の解明が期待されます。

本成果は、2019年7月5日、英国の科学誌Scientific Reportsに掲載されました。

図1 石英の水に対する溶解度の等高線図とフラッシング実験の温度圧力条件。
FL250、FL350、FL400、FL450の矢印は、フラッシング実験による減圧に伴う温度圧力の経路(0.1秒ごとの時間間隔)を示す。石英の溶解度は、Siの濃度のカラーで示している。石英やアモルファスシリカなどのシリカ鉱物は、密度が高い液体の水には溶け込みやすく、密度が低い水蒸気には溶け込みにくいために、急減圧によって、過飽和な状態が作られて、アモルファスシリカの粒子が発生した。星印は、フラッシングにより生成したシリカ粒子を熱水中で保持した実験の温度圧力条件を示す。

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問い合わせ先

<研究について>
東北大学大学院環境科学研究科
准教授 岡本 敦
TEL: 022-795-6334
E-mail:atsushi.okamoto.d4*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

<報道について>
東北大学大学院環境科学研究科 情報広報室
助手 物部 朋子
TEL:022-752-2241
FAX:022-752-2236
E-mail:tomoko.monobe.d4*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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