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ゲノム・オミックス解析情報の公開データベースjMorpの収載データを大幅拡充 ~メタボローム解析データを1万5千人に拡大し縦断解析データも格納、全ゲノム解析データが4千7百人に~

【発表のポイント】

  • 東北大学東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)は、疾患の比較対照として有効な公開データベース日本人多層オミックス参照パネル(jMorp)の収載データを大幅に拡充しました。一般住民の解析情報であるjMorpの収載データと、疾患由来のデータを比較することなどで、疾患の原因や治療法の発見につながります。
  • jMorpのメタボローム解析*1対象者数を1万人から約1万5千人に拡張し、さらに経時的な変化データを初めて追加しました。また、より精密かつ正確に疾患者サンプル等と比較可能な定量値データを新たに追加しました。
  • 全ゲノム解析データを約1千人分増やして約4千7百人とし、全ゲノムリファレンスパネル*2 4.7KJPNとしました。

【概要】

jMorp は 2015年7月にToMMo が世界で初めて 500 人以上の血漿に対する網羅的メタボローム及びプロテオーム*3の統合解析結果を公開したデータベースです。最初の公開以来着々と収載データを増やすとともにゲノム解析の情報を追加し、現在ではゲノミクス、プロテオミクス、メタボロミクスというヒトに関わる生命科学の総合的な情報を網羅的に収載するリファレンスパネル*4となっています。jMorpの情報は主に東北メディカル・メガバンク計画の長期健康調査に参加された方々のご協力のもとに収集されています。

今回、このjMorpのメタボローム解析対象者数を10,000人から約15,000人に拡張しました。さらに詳細二次調査*5で得られた、1,000人分のメタボローム解析結果を加え、3~5年の加齢によりメタボロームがどのように変化するかも比較可能としました。そして新たに定量値の解析結果を追加しました。今回の拡充により、さらに精密かつ正確なメタボローム解析が可能なリファレンスパネルとなりました。

全ゲノム解読情報に基づくアレル頻度*6情報についても、データのもととなる解析人数を3,500人から約4,700人(4.7KJPN)としました。今回のアレル頻度パネル拡張では、東北メディカル・メガバンク計画による宮城県と岩手県でのコホート調査*7への協力者の他に、外部コホートへの協力者の検体を追加し、より日本人として代表性の高いゲノム情報となりました。

今回の拡充により、4.7KJPNは日本人のゲノムデータを有するデータベースとして最大であり、約15,000人分のメタボローム情報は世界で最大級の収載数となりました。また、メタボロームの経時変化データの公開は世界初です。

全国の研究者がjMorpのデータを用いることにより、疾患の原因や予防法、バイオマーカー*8の発見などにつながる研究の進展が期待されます。

本研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)による東北メディカル・メガバンク計画のもと東北大学東北メディカル・メガバンク機構によって行われています。

【用語解説】

*1. メタボローム解析:生体内に含まれる代謝物(メタボライト)の網羅的な解析。

*2. 全ゲノムリファレンスパネル:東北メディカル・メガバンク計画で実施された、日本人の一般住民数千人の全ゲノム次世代シークエンシング解読により、検出されたゲノムDNAバリアントから構築された日本人ゲノム配列のパネル。

*3. プロテオーム:生体内に含まれるタンパク質の網羅的な解析。

*4. リファレンスパネル:ここでは疾患など健常時と異なる状態に対して、比較対照可能な参照用のデータ群を指す。

*5. 詳細二次調査:当計画のコホート調査(*7参照)において、参加者に対して最初に行った健康調査から約4年後に実施している2回目の詳細調査。数年おきに同じ人に対して健康調査を行うことにより調査開始時点からの前向きな経時的変化がわかる。

*6. アレル頻度:ある集団における DNAバリアントの塩基(A,T,G,C)の頻度で、アレル(同じ座位上で対立して存在する塩基)ごとに算出したもの。今回は対象となった日本人約 4,700人中の頻度なので、最大で約9,000のうちにどれだけ検出されたか計算される。

*7. コホート調査:特定の集団を一定期間追跡することによって、環境要因や遺伝的要因と疾病発生の関連を調べる調査。当計画の調査は「前向きコホート調査」である。

*8. バイオマーカー:疾患の発症や進行を反映する生体内分子。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学東北メディカル・メガバンク機構
生命情報システム科学分野 教授 木下賢吾
電話番号:022-274-5952
生体分子解析分野 教授 小柴生造
電話番号:022-274-6016
ゲノム遺伝統計学分野 教授 田宮元
電話番号:022-274-5996

(報道に関すること)
東北大学東北メディカル・メガバンク機構
長神 風二(ながみ ふうじ)
電話番号:022-717-7908
ファクス:022-717-7923
Eメール:pr*megabank.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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