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熱効率向上の弊害、ノッキングの定量予測に世界で初めて成功〜スパコンによる直接数値計算で実験との定量的な一致を実現〜

【発表のポイント】

  • ガソリンエンジンの熱効率向上の障害となっているのが、ノッキング注1と呼ばれる異常燃焼である。
  • 現在のスーパコンピュータでは定量的な予測が不可能と考えられていたノッキングを、超高速な数値計算手法を開発することで可能とした。
  • ノッキング発生前後の流体・化学反応を定量的に予測する手法を確立したことで、今後の熱効率向上に向けたノッキング抑制の知見を拡大することが可能となった。

【概要】

ガソリン・エンジンの熱効率向上の最大阻害要因であるノッキングは、流体と化学反応の複雑な連成の結果として発生する現象であるため、長年の研究にも関わらず、十分な知見が得られていません。スーパーコンピュータの進歩に伴い、詳細なデータを得ることができる数値計算を用いたノッキングの解明が注目されていますが、化学反応に起因する膨大な計算負荷により、仮想的な条件における基礎研究しか実施されてきませんでした。東北大学流体科学研究所の森井助教ら(丸田・森井/中村研究グループ)は、超高効率かつ堅牢な数値計算手法を開発し、化学反応に起因する計算負荷を大幅に低減することで、ノッキングに関する実験との定量比較を実現しました。

本成果は燃焼分野で最も権威のある学術誌Combustion and Flameの2021年1月号に掲載され、2021/1/18現在、Most Downloaded Combustion and Flame Articlesとなっています.

図1.LLNL、ERENA、MACKSのCVODEに対する計算加速倍率。

【用語解説】

注1:ノッキング
火炎が到達していない未燃ガスにおいて発生する自着火現象。エンジンを破損する恐れもある。熱効率向上に向けた高圧縮比条件で発生しやすい。

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問い合わせ先

東北大学流体科学研究所 
担当 森井雄飛
電話 022-217-5296
E-mail morii*edyn.ifs.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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