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発達は追いついていく 口唇口蓋裂児の精神運動発達に関する縦断研究

【本学研究者情報】

〇病院顎口腔機能治療部 助教 土谷忍
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • エコチル調査に参加した子ども(約92,000名)のデータを利用し、口唇口蓋裂を伴う子ども(195名)の生後6か月~3歳までの精神・運動発達注1について解析を行った。
  • 口唇口蓋裂児では、コミュニケーションを中心に、粗大運動や問題解決注2などで若干の遅れが認められた。
  • 最も大きな違いは2歳時のコミュニケーションにおいて認められたが、それらの差は成長に伴い減少する傾向が示された。

【概要】

口唇口蓋裂は最も頻度の高い先天異常ですが、成長発育にどのように影響するかを経時的に追跡した調査はこれまでありませんでした。東北大学病院の土谷忍助教らのグループは、環境省が実施している子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)の約92,000人を対象に、そこに含まれる口唇口蓋裂児(195名)について生後6か月から3歳までの精神運動発達について解析を行いました。その結果、コミュニケーション(1歳半以降)、粗大運動(1歳半~2歳)、問題解決(2歳半~3歳)、個人・社会(6か月と3歳時)で有意に低い点数が示されました。しかしながら、それらの差は成長に伴い減少する傾向が示されました。この点に関して、口唇口蓋裂児に実施される手術歴や言語訓練の効果が考えられますが、治療歴については調査データに含まれていないため、結論付けることはできませんでした。

本研究の成果は、2022年2月15日付で学術誌European Journal of Oral Sciencesに掲載されました。

※本研究の内容は、すべて著者の意見であり、環境省及び国立環境研究所の見解ではありません。

図1.J-ASQ-3の得点の経時的な推移
18〜36か月のコミュニケーション、18・24か月の粗大運動、30・36か月の問題解決、6・36か月の個人的・社会で口唇口蓋裂を伴う子どもが低い点数を示ました。最も大きな違いは24か月のコミュニケーションにおいて認められましたが、それ以降、差は少なくなっていきました。同様の変化が粗大運動でも見られました。

【用語解説】

注1. 精神運動発達:それぞれの年齢時の発達の程度。本研究ではJ-ASQ-3を用いました。

注2. J-ASQ-3:米国で開発された乳幼児の発達評価ツールASQ第3版の日本語版。5領域、コミュニケーション(話す・聞くなど)、粗大運動(立つ・歩くなど)、微細運動(指先で物をつかむなど)、問題解決(手順を考えて行動するなど)、個人・社会(他人とのやり取りに関する行動など)を指標として評価しました。各領域は6項目で構成され、得点範囲は0-60点です。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学病院顎口腔機能治療部
助教 土谷 忍
電話番号:022-717-8277
Eメール:shinobu.tsuchiya.c2*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(取材に関すること)
東北大学病院広報室
電話番号:022-717-7149
FAX番号:022-717-8931
Eメール:press*pr.med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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