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リンパ行性がん免疫療法における抗腫瘍効果の増強と副作用の軽減を実証

【本学研究者情報】

〇医工学研究科 教授 小玉哲也
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 免疫チェックポイント阻害剤(ICI)の投与により間質性肺炎などの免疫関連有害事象(irAEs)を発症する疾患モデルマウスを世界で初めて樹立しました。
  • 本モデルマウスはリンパ節に容易に薬物注入が可能なヒトと同等の大きさのリンパ節を有します。
  • 本モデルマウスの転移リンパ節に免疫チェックポイント阻害剤を注入し(リンパ行性がん免疫療法(注1))、高い抗腫瘍効果と副作用の抑制効果を実証しました。
  • 本成果は安全性が高く低侵襲のがん治療法の開発に貢献すると期待されます。

【概要】

私たちの免疫システムには、自己に対する免疫応答や過剰な免疫反応を抑制するチェックポイント分子を用いて免疫細胞の活動を調節・制御する仕組みがあります。時にがん細胞はこのチェックポイントを利用し、免疫担当細胞からの攻撃を免れることがあります。免疫チェックポイント阻害療法は、チェックポイントをブロックすることで、免疫系が本来持っているがんと戦う力を強化する強力な免疫療法です。しかし、免疫担当細胞ががん細胞以外の正常細胞まで攻撃してしまう重大な副作用(irAE)が課題となっていました。

東北大学大学院医工学研究科腫瘍医工学分野の小玉哲也教授と同大学院歯学研究科顎顔面口腔腫瘍外科学分野の森士朗非常勤講師らの研究チ-ムは、ICIの投与により間質性肺炎などのirAEを発症する疾患モデルマウスを世界で初めて樹立しました。このモデルマウスはまた、リンパ節に容易に薬物注入が可能なヒトと同等の大きさのリンパ節を有しています。研究チームは、腫瘍が増殖しているリンパ節にICIを注入することで、リンパ節転移や遠隔転移に対して高い抗腫瘍効果とICIの副作用である免疫関連有害事象(irAEs)の抑制効果が得られることを、新たに樹立した疾患モデルを用いて実証しました。

本研究成果は、2023年6月1日Journal of Experimental and Clinical Cancer Research誌(電子版)に掲載されました。

図1. 転移性リンパ節を標的とした免疫チェックポイント阻害薬(ICB)は強い治療効果を引き出し、ICB誘発性間質性肺炎を改善させる。

【用語解説】

注1. リンパ行性がん免疫療法
本研究チームが提唱している新たな免疫療法である。リンパ節に免疫チェックポイント阻害剤などの薬剤を投与し、 抗腫瘍効果の増強と副作用の軽減を可能にする。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院医工学研究科
腫瘍医工学分野
教授・小玉 哲也 (こだま てつや)
電話:022-717-7583
Eメール:kodama*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(取材に関すること)
東北大学大学院医工学研究科
Eメール:bme-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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