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井上プラン2007〔2009年度改訂版〕

1 教育

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『知の継承体』として、築き上げてきた知を教授する教育システムの再構築を図り、『知の創造体』を担う高度な教養、専門的な知識及び国際的な視野を備えた指導的人材を育成する。

教育概念図

1-(1) 大学教育の根幹となる教養教育の充実

A 東北大学独自の教養教育カリキュラムの再構築

〔背景〕

教養教育は、学生にとって人間力を高め、世界に向けて視野を広げ、専門教育の基礎を確立するために必要不可欠であり、大学院での異分野融合研究を創造していくためにも重要である。本学は、教養部廃止後に「学びの転換」を求めて、基礎ゼミなど独自の教養教育カリキュラムを創出してきただけでなく、平成20年度からは総長特命教授(総長から命ぜられた特別な役割を担う定年退職教授)による講義の実施など、教養教育カリキュラムの改善に向けた第一歩を踏み出した。さらに国際舞台で活躍できる指導的人材を多数輩出していくためには、学士課程、博士課程を含め教養教育カリキュラムの高度化・多様化を一層推進する必要がある。

〔プラン〕

①学生の学習意欲を高め、高度で幅広い教養が身に付く国際的に通用するカリキュラムを編成する。②コミュニケーション能力を高める英語教育を強化する。英語の講義時間数の増強及び英語の外部検定試験(TOEFL)の導入を図る。③IT、メディアを駆使した高度情報型教育システムを開発する。④学生が国際的に通用するための仕組みの一つとして、学部におけるスタディアブロード、海外インターンシップ等の制度を活用する。⑤大学院生が履修できる教養教育カリキュラムを設置する。⑥優秀な学生を育成する特別優待生制度を導入する。

B 教養教育の実施体制の充実

〔背景〕

教養部の廃止以降、高等教育開発推進センターを中心に教養教育を推進し、実績を上げてきたが、より高度な教養を身に付けた学生の育成には、教養教育の実施体制の更なる整備が必要である。また、国際コミュニケーション能力をはじめとする教養教育を担える幅広い知識と経験のある教員を確保し、学部から大学院へつながる研究の面白さを理解させる講義の充実が急務となっている。このような実施体制の充実の一環として、平成20年度から総長特命教授(教養教育)の発令を行い、その所属組織である教養教育院を創設した。

〔プラン〕

①教員の資質の一層の向上を図るとともに、教養教育に対し意欲的に取り組む教員を積極的に確保する。あわせて、当該教員に対するインセンティブ及び評価方法について検討する。②教養教育に取り組む教員を「教養教育特任教員(仮称)」として教養教育院に兼務する制度を導入する。③教養教育を総合的に統括し、科目設定、教員人事、学生支援等に責任を持つ組織体制を整備する。④学生の教養教育の理解を深めるため、スチューデントアドバイザー制度(仮称)の導入を検討する。新教員制度の助教やTA、RAとも連携した効果的な教育体制の確保を図る。

1-(2) 知を創造できる専門教育・大学院教育の充実

A 大学院教育カリキュラムの再構築

〔背景〕

本学では他の国立大学と同様に、大学院重点化以降も学部4年の上に博士課程前期2年、博士課程後期3年のシステムが維持されている。今後、世界最高水準の研究中心大学として発展していくためには、学部・大学院の一貫教育や、研究を通じて行われる専門教育において様々な能力を持つ学生の習熟度、到達度に対応した多様なカリキュラムが不可欠である。また、国際色豊かな教員組織を整備し、世界中からの博士課程後期への進学者の確保、研究発表において国際的に議論できる大学院生の育成などの対応が必要である。

〔プラン〕

①教養教育と専門基礎の上に築き上げられる高度な大学院教育の到達目標を部局ごとに明らかにし、これらにふさわしい独自のカリキュラムを、学部(4年)、博士課程前期(2年)、博士課程後期(3年)の柔軟な組合せにより構築することを検討する。②学生の達成すべき学習成果の明確化を図り、提供する大学教育の質を保証する仕組みの在り方を検討する。③入学から修了まで一貫して英語を用いて行う教育システムを拡充する。④大学院におけるスタディアブロード、海外インターンシップ等の制度を充実する。⑤優秀な外国人留学生の確保及び外国人教員の積極的雇用を図る。⑥新教員制度の活用による専門教育の充実を図る。

B 大学院教育の実施体制の整備

〔背景〕

平成19年4月より実施された新教員制度は、教員組織の基本構成を教授、准教授、講師、助教及び助手として職務内容を整理し、助教以上の研究に対する独立性を確保するとともに、助教が大学院の講義を担当できるものとする制度である。この制度を適切に運用することで専門分野数の増加、カリキュラムの柔軟な設計、講座体制の見直しなど、教育と研究の体制を大きく改革できる状況になっている。

〔プラン〕

①各研究科の大学院教育体制をより効率的かつ実効的に改革するため、これまでの大学院教育体制(分野、講座、専攻等)を再編する。②学問分野の特性や公的評価を踏まえ、大学院定員の再配分を検討する。③各研究科において研究を通した教育が可能な体制をつくり、国際高等研究教育機構との連携を推進する。

C 教育の国際化の促進

〔背景〕

世界に開かれた大学として、世界規模での質の高い留学生の受入れ及び本学学生の留学態勢を整備し、若い学生間の深い交流や卒業後の連携を一層進めていく必要がある。

〔プラン〕

①国際水準の大学や機関とのグローバルネットワークの構築と実効的交流を推進する。②広く世界から意欲と能力を備えた秀逸な留学生を迎え入れ、東北大学の理念の基に、世界の発展に貢献できる人材を育成する。大学独自の留学生支援措置の拡充、留学生の日本語教育の充実、英語を共通言語とする教育システムの導入、大学レベルと部局レベルのそれぞれにふさわしい国際交流支援組織の充実等を検討する。③海外インターンシップ制度等、意欲と能力のある本学学生が国際水準の大学に留学するシステムの充実を図る。④国際的に通用する自己表現力の向上を図るため、国際学術シンポジウム等への学生参加を促進する。

D 異分野融合型新研究分野開発を担う高度な研究人材の育成

〔背景〕

本学では独自に国際高等研究教育院を設置し、異分野融合を志す大学院生に対し5年一貫で研究を通した教育を行っている。また、平成19年4月にはその出口として優れた博士研究員(ポスドク)に自律的研究を促進する環境を与え、世界に挑戦する研究者を育成する国際高等融合領域研究所を設置し、国際高等研究教育院とあわせて国際高等研究教育機構を設立している。

〔プラン〕

①国際高等研究教育機構を機能させ、高度な研究人材の育成を進める。国際高等研究教育院における大学院教育について教養教育院と連携してその充実を図る。②国際高等研究教育機構、原子分子材料科学高等研究機構及びグローバルCOEプログラムとの密接な連携の下で異分野融合領域における高度な研究人材の育成を進める。

E 専門職大学院の成果の評価と改善

〔背景〕

社会の各分野において指導的な役割を担う高度専門職業人の養成に対する期待にこたえて、本学でも法科大学院、公共政策大学院及び会計大学院を設置している。今後の専門職大学院の在り方としては、高度専門職業人の養成をめぐる社会動向を注視しながら、専門職大学院の活動状況等を踏まえた不断の改善に取り組むことが重要である。

〔プラン〕

①高度専門職業人の計画的な養成を進める。②研究者教員及び実務家教員の一体かつ適切な役割分担による実践を重視した授業を展開する。③学部と専門職大学院の接続性の高いカリキュラムの構築を検討する。④社会人が専門職大学院で学ぶことができる効果的なシステムを検討する。⑤専門職大学院における学習環境の改善に努める。

1-(3) 新たな教育システムの開発

A eラーニングによる教育システムの拡充

〔背景〕

世界がインターネットで結ばれている今日、そのシステムを取り込んだ効率的・効果的大学教育を展開する必要がある。また、高度な教育を求める国際社会、効率的講義を要望する遠隔地キャンパス、生涯教育を期待する広範な地域社会において、大学の知を求める多様な人々に対して知を発信するシステムの開発が期待されている。

〔プラン〕

①教養教育をはじめ、本学学生に対する教育資料の提示、レポートの提出・添削など、効率的・効果的な講義の充実を図る。②東北大学インターネットスクール(ISTU)及び東北大学機関リポジトリ(TOUR)の活用とeラーニングの在り方について検討を進める。③異分野融合領域においては、国際高等研究教育院と連携したeラーニングによる教育システムを検討する。④地域コンソーシアム及び学術交流協定校とのインターネットを通じた共通講義及び単位互換制度の構築を検討する。⑤インターネット教育を受ける新たな社会人入学制度を検討する。

B 企業等の学外団体との連携による教育プログラムの推進

〔背景〕

大学は、企業等の学外団体に対しても開かれた教育研究機関になることが重要となっている。社会経済の激動の中で変貌する企業等の学外団体の先端実務を学ぶ機会が提供されることは、学生に対する教育効果の向上につながるものと期待される。

〔プラン〕

企業等の学外団体からの寄附金を開講資金とする公開講義(寄附講義)の開設を促進する。特にサイエンスパーク等で本学と連携する企業の寄附講義の開設を推進する。

1-(4) 学生支援体制の充実

A 活発な課外活動の育成

〔背景〕

本学で学ぶ学生が学業に加え、体育部・文化部等の課外活動を行うことは、人間関係を築き、社会活動を体験する上で重要となる。また、学生にユニバーシティ・アイデンティティを持たせ、大学全体としての一体感を醸成する上でも重要である。

〔プラン〕

平成20年4月に創設された「東北大学基金」や東北大学教育研究振興財団の助成事業も活用し、①学友会の更なる活性化のための組織の見直し及び活動の充実を図る。②全学的視点から課外活動施設の整備を推進する。

B 進路選択に関する情報提供の推進

〔背景〕

学生に対して学部卒業又は大学院修了後の進路選択に関するきめ細やかな情報を提供すること、及び社会との連携を体験する機会を提供することは、学生の将来設計にとって重要である。

〔プラン〕

①本学ホームページの学生用サイトを活用した情報提供を行う。②キャリア支援センターの機能の充実を図る。③国内外インターンシップを実施する。④独自の博士研究員(ポスドク)ポストの確保を行う。高度技術を保有している博士号取得者(博士課程後期在籍者を含む)を対象とするキャリア支援として「高度技術経営塾」の積極的な活用を図る。

1-(5) 意欲的な学生が受験する入試戦略の展開

A 学生募集力の向上

〔背景〕

東北大学は国立大学として日本で3番目に創立された歴史ある大学であり、日本有数の研究中心大学として数々の世界トップクラスの研究成果を発信するとともに、多くの指導的人材を輩出してきた。東北大学は、本学が標榜する理念に共鳴し、研究中心大学で学ぶことを望む学生を求めている。本学の魅力、実力、実績と、それらに裏付けられた質の高い教育を受けることができることを高校生及び大学生に発信することが重要な戦略となる。

〔プラン〕

①情報発信・広報活動として、高校生対象のわかりやすいホームページを作成する(学部)。また、東北大学の研究成果、活動をわかりやすくホームページ等に掲載する(学部・大学院)。②東北大学校友会、教育委員会等との協力・連携の下で開催する移動講座を拡充する(学部・大学院)。③高校と大学の連携による体験入学や、高校における総合的学習等への協力などを行い、大学の研究に触れる機会を用意する(学部)。④学会での積極的研究発表等を通じて、本学の研究中心大学としての魅力を発信する(大学院)。⑤学生対象の大学院説明会を開催する(大学院)。⑥学生の奨学制度等の充実を図る。

B 入学者選抜方法の改善

〔背景〕

東北大学では一般入試に加え、AO入試及び推薦入試を行い、意欲的な入学者を選抜しているが、あわせて、AO入試及び推薦入試合格後の高校生活における学力及び学習意欲の維持・向上が強く望まれる。一方、十分な学習のもとに専門課程の選択を望む学生に対応するために大学入学後に専門課程選択が可能となる多様なシステムが望まれる。さらに大学院では他大学からの転入学が増加する傾向にある中で、研究者等としての資質を評価できる入試システムの充実が必要である。

〔プラン〕

①知識の評価だけではなく、高校の研究活動などを評価する入試制度を検討する。科学オリンピックの受賞者など世界的に優れた才能を有する学生を積極的に入学させる方策を検討する(学部)。②AO入試及び推薦入試の合格者に対し、プレ学生証を発行し入学決定から入学までの間に大学での図書館利用や受講・研究室体験ができるシステムを整備する(学部)。③東北大学校友会を含めて日本及び世界各地に推薦網を整備する(学部・大学院)。④大学入学以降の学習によって専門課程を選択できる学部・学科等の枠を超えた入試システムを検討する。

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