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井上プラン2007〔2009年度改訂版〕

5 組織・経営

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『知の経営体』へと変革し、本学を取り巻く環境の変化や時代の要請に対応できる財政基盤をはじめとする経営基盤を確立する。

組織・経営概念図

5-(1) 全学運営システムの機能強化

A 管理運営編成の明確化と部局とのコミュニケーションの拡充

〔背景〕

新たなガバナンスの下で総長のリーダーシップの発揮とともに、理事・副学長の各所掌分野に対する責任ある管理執行機能の担保、さらに相互に連携したスピード感溢れる戦略展開が求められる。このような役割の強化に対応して、各部局とのコミュニケーションを豊かにしていくことが、迅速かつ効率的な組織運営に不可欠である。

〔プラン〕

国際標準のガバナンス体制に基づく迅速かつ効率的な戦略展開力の強化を図るため、理事・副学長の所掌業務の的確な配分と明確化、理事・副学長・部局長の達成目標(ミッション・ステートメント)を明示した評価の活用等のほか、理事・副学長・部局長等のガバナンスシステムの在り方を検討し、戦略的な法人経営体制を整備する。様々な課題について総長・理事・副学長と関係部局長が適切なコミュニケーションを図ることができるよう、関連部局長会議などの場を設ける。

B 総長室活動に関する適切な情報発信

〔背景〕

総長室が有効に機能するには、戦略の策定に当たって理事・副学長と連携を図り、教学事項は教育研究評議会で、経営事項は経営協議会で審議し、役員会に諮るといった一連の手続きを経るだけではなく、総長室の活動内容を大学の構成員に発信していくとともに、本学に対する意見・要望といった情報を取り入れて活動に反映させていくことが重要になる。

〔プラン〕

総長室の多様な活動内容について、理事・副学長会議や部局長連絡会議の場において適時適切に報告を行うとともに、ホームページや電子媒体も活用して、大学構成員に十分伝わるよう努める。総長と各種メディアの双方向のコミュニケーションも促進する。

C 効率的かつ効果的な事務機構の再構築

〔背景〕

大学の国際的な競争環境を考えるとき、事務機構、スタッフも国際水準でなければならない。自主的・自律的な大学運営、情勢変化に対応できる迅速かつ柔軟な意思決定、世界最高水準を目指す総合大学としての教育研究活動の支援、内部統制が有効に機能した業務処理、公務員時代からの長年の習慣を打破する職場の活性化等を実現できる事務機構への体質改善を図り、組織と人の力を最大限に発揮できる状態を築き上げていく必要がある。

〔プラン〕

①国際水準の大学にふさわしい事務機構を目指す観点から、従来の発想にとらわれることなく先駆的な成功モデルも参考にして、更なる効率化と同時にパワーアップを図るべく、業務の再設計による業務効率の向上、部署の廃止を含めた事務機構の一層のスリム化、理事・副学長の分担と事務機構の指示命令系統の明快化、国際水準の大学を支える人材の確保方策やスタッフ・ディベロップメント研修の実施など、組織・人事マネジメントの改革を進める。②業務プロセスの抜本的改革を行う。

D 全学的リスク管理システムの構築とコンプライアンスの徹底

〔背景〕

大学には日常的に様々な事件や事故が発生するリスクが存在する。これらを管理し、迅速かつ適正な対応を行っていくことは、大学の機能を円滑にし、また社会的信頼を確保する上で不可欠である。

〔プラン〕

①大学で想定されるリスク(事務リスク、情報セキュリティリスク、コンプライアンスリスク、イベントリスク)の的確な把握、リスクの適切かつ迅速なコントロール、ステークホルダーに対する説明などを確実に行い、国際水準の大学としての社会的責任を果たすため、全学的なリスク管理システムの構築を進める。②コンプライアンス推進体制を構築し、経理の適正化などコンプライアンスの周知徹底を図る。③監査結果に基づく業務改善を図る実効性ある仕組みを整備するため、内部監査体制を充実する。

E 国際競争力を支える人的・物的財産の戦略的な運営システムの再構築

〔背景〕

本学が世界最高水準の大学を目指した国際競争力を獲得していくには、部局組織の活力向上と限られた人件費の戦略的な配分システムの構築が重要となる。また、平成20年度には国内における専門分野別の水準が明らかとなる大学評価が実施され、その結果が運営費交付金の算定の際に斟酌されることが見込まれている。現在部局管理を原則としている大学の施設について、部局横断的に効率よく活用できる仕組みが必要である。

〔プラン〕

世界最高水準の大学となるための戦略実行を支える大学運営システムの構築を目指す。①大学の学術領域、価値観の多様性、基礎研究の重要性などに配慮しつつ、全学として機動的・戦略的な人件費配分や人材配置、あるいはポスト設置・運用を可能とする仕組みを整備する。②限られた学内施設設備を機動的かつ有効に活用するための大学施設の管理方法や部局を超えた施設設備の高効率な活用の方策を検討する。

5-(2) 財政基盤の強化

A 安定した自己財政基盤の構築

〔背景〕

「行政改革の重要方針(平成17年12月24日閣議決定)」では国立大学法人に対して5年間で5%以上の人件費削減が盛り込まれている。運営費交付金には1%の効率化係数(病院部門には2%の経営改善係数)が掛けられている。教育研究を支える財政基盤を確立するには、このような厳しい財政状況に対応する財務戦略・予算編成・教職員人員計画の作成が急務となっている。特に近年は大型の外部資金を取り入れるに際して一定の経費負担等を求められるが、そのような経費等を速やかに確保できる仕組みがなければ競争することさえ困難である。資金運用については独立行政法人通則法第47条により制限を受けており、特に投資対象は国債・地方債・政府保証債等に限定されている。本学が井上プランを基軸とする戦略を自律的に実行していくには、安定した自己財政基盤を構築し、充実させなければならない。

〔プラン〕

安定した自己財政基盤を確立するため、①中長期財政計画をベースに、予算編成を通じて基盤的な経費と戦略的な経費の調整を図る。②中期教職員人員計画の作成を行う。③大型プロジェクトなどの外部資金獲得に際して一定の経費負担や人員確保が必要な場合に全学の協力を得てそれらを確保していく仕組みを策定する。④産学連携を重視したフェロー会員制(教育研究の充実に資する会費収入の確保と当該企業へのインセンティブの付与)を検討する。⑤資金運用及び資産運用の充実による財源確保に向けた各種制約の緩和を関係機関に要望するとともに、既存の枠組みの中でも最善の資金運用及び資産運用に努める。⑥「東北大学基金」の恒久的な拡充を図るための取組を強化するとともに、その戦略的活用についても検討を進める。⑦業務内容や業務方法の見直し、物品の一括調達などにより管理的経費の削減を徹底し、財政構造に見合った最適化を図る。⑧資金獲得または経費節減の努力を促進するためのインセンティブシステムを整備する。

B 総長裁量経費を重点投資するためのルールの構築

〔背景〕

教育研究活動の活性化、管理運営の円滑化を図り、全学的な視点から本学の一層の発展に資するために総長が戦略的・重点的に資源配分する経費として総長裁量経費がある。しかし、この経費の多くを基盤的な経費に当てているとその趣旨は実現されない。また、この経費の使途が恒常的になると年々自由度のある資金は減少する。本学では新たな全学的な基盤経費化の仕組み(全学的基盤経費)を平成20年度から実施している。

〔プラン〕

これまでの総長裁量経費の配分を見直し、その選択配分の基準を明確にした上で戦略的・重点的な投資を行う。

C 部局マネジメントに連動する部局長裁量経費の配分

〔背景〕

これまで部局において競争的資金の獲得努力により間接経費等で業務改善などに取り組んでもそれにこたえる仕組みが不十分であった。部局の教育研究基盤を強化・発展させるには、部局のマネジメントを評価して部局長裁量経費の配分においてそれにこたえる仕組みが必要である。

〔プラン〕

本学の教育研究基盤を強化・発展させるため、平成18年度から実施している部局評価の結果に基づく部局長裁量経費の傾斜配分の強化のほか、部局の業務改善努力を支援する制度(マッチング・ファンド)や内部貸借制度の導入を検討・活用する。

D 本部・部局基金の充実

〔背景〕

本学の公共性、公益性、社会貢献等に期待する民間企業、卒業生等からの寄附金の受入れを促進する体制を整備する必要がある。

〔プラン〕

海外インターンシップを含む全学教育などを充実させるため、100周年記念事業募金を原資とする「東北大学基金」を活用して、部局を中心とする現存の同窓会組織と緩い連携・協調の下で本基金を恒常的に充実させる仕組みを整備し、具体的運用を図る。退職教員の持つ寄附金の基金への編入について検討する。

E 病院財政基盤の強化

〔背景〕

大学病院は人類生存の基盤である最先端医療の開発・実践を行う場であり、その知を応用して一般社会に還元する使命を持っている。病院部門には毎年2%の経営改善係数が掛けられており、また、平成18年度の診療報酬点数のマイナス改定など医療費抑制策がとられている。大学病院の使命を十全に果たすべく、多くの職種の優秀な人材の確保や先端医療機器等の整備を図るため、財政基盤の強化が急務となっている。

〔プラン〕

①収入増(ベッド稼働率の向上、在院日数の適正化等)と経費削減を図る。②高度先進医療を促進する。③医師と看護師を確保するための方策を講じ、7対1看護体制の確保により医療の質と患者サービスを向上させるとともに、診療報酬請求の増額を図る。④東北大学が随一と言われるような世界に誇れる医療技術分野を重点的に育成し、社会へ発信していくことを目指す。

5-(3) 大学を支える人材の確保・活用を図れる人事システムの構築

A 国際競争力を支える教員の確保

〔背景〕

本学をめぐる諸環境の変化の中で、本学が世界最高水準の大学となるためには、質の高い多様な教員を多様な方法で確保することが従来にも増して重要となる。本学では平成19年度にディスティングイッシュトプロフェッサー(教育・研究・社会貢献の各分野において先導的な役割を担う教授)制度を導入し、平成20年度にユニバーシティプロフェッサー制度(世界トップレベルで国際的影響力のある教授)を再整備した。

〔プラン〕

国際水準の教育研究等の質の確保・向上を目指して、多様な教員を多様な方法で確保する仕組みを教員のキャリアパスに適切に組み込んでいく。①世界的な若手教員の確保・育成を図るため、特に優れた若手教員にディスティングイッシュトプロフェッサー制度を適用することを検討する。②定年退職した教授で一定額以上の外部資金の獲得等を資格要件として雇用する「リサーチ・プロフェッサー(仮称)」の仕組みを検討する。③平成19年度に制度化した総長特命教授を活用し、教員組織の充実、全学(教養)教育の実施体制の確保等を図る。④教員の2研究科所属について、当面は現行の「研究科等の協力関係弾力化に関する申合せ」による学内措置を維持しつつ、エフォートを明確にしながらその緩和を関係機関に要望する。

B 東北大学式人事処遇システムの検討

〔背景〕

本学の人事処遇システムは当面の措置として国家公務員の人事処遇システムを労働関係法規との整合性を図りながらほぼそのまま踏襲してきている。東北大学の活動を強化するためには、財政的な制約の下でも教職員が生き生きと仕事に取り組める環境を作る必要がある。そのためにはモチベーションを高めるとともに、適切なインセンティブを提供することが重要であり、東北大学に適した独自の人事処遇システムの在り方について検討を進める必要がある。

〔プラン〕

本学の戦略的・機動的な大学運営と教育研究の高度化による更なる躍進を目指して、東北大学式人事処遇システムの構築に向けた検討を進める。①部局長の給与処遇について、業務の実績に連動した適切な運用を図る。②国際水準のスタッフを確保・育成する方策を速やかに立案し、実行する。③大学院教員に画一的に支給されている調整額の見直しを行い、教員の教育に対する貢献に応じた給与措置を講じる。④教員のキャリアパスの全体像を描いて、65歳継続雇用システムを整備する。⑤上記のほか、本学独自の給与システムについて検討する。

C 多様な努力が報われる評価システムの確立と活用

〔背景〕

本学が世界最高水準の大学となるためには、本学の構成員一人ひとりが本学の目指すべき方向を理解し、それに向かって使命感をもって行動することが必要である。教職員の自律的な活動の活性化を促し、能力・業績の向上に実効的と考えられる評価システムの確立と活用が急がれている。

〔プラン〕

公正で健全な教育・研究活動等の環境を整え、多様な努力が報われる評価体制を機能させることを狙いとして、公正で納得性の高い評価システムを整備し、実施する。①教員の評価の実施については、各部局において具体的な実施方法を早急にとりまとめる。②平成21年度から実施する事務職員等の評価を活用して人材のマネジメントや業務の運営・改善にあたっていく。③理事・副学長・部局長の達成目標(ミッション・ステートメント)を明示した評価を活用して業務の運営と改善にあたっていく。④多様な努力の成功事例を教職員に対し発信することを検討する。

D 男女共同参画の推進に向けた取組

〔背景〕

男女共同参画社会の形成において、高等教育機関としての大学もその一翼を担うべきことは言うまでもない。大正2年に日本の大学として初めて女性に門戸を開いた東北大学は、その伝統のもと、平成13年に全学的組織「男女共同参画委員会」を発足し、男女格差の是正、研究・労働環境の改善、両立支援体制の充実などに努めてきている。

〔プラン〕

女性教員の増員に向けた積極的かつ実効性のある目標の設定・実施、教職員の育児と仕事の両立支援策の導入など、総合的・計画的な取組を推進する。

5-(4) 東北大学ネットワークの形成

A 東北大学の総合価値の向上と情報発信

〔背景〕

本学が世界最高水準の大学となるためには、本学にユニバーシティ・アイデンティティを確立して、ブランド力とともに国際的な知名度を高めることが不可欠である。本学の教員は業績発表の形で多くの学術情報の発信を行っているが、さらに実社会への貢献を意識した積極的な情報発信が必要である。特に国内外においてプレゼンス(存在感)のある大学を目指すため、英語による情報発信力が重要である。本学は多様なレベルの訪問者を日常的に迎えており、学内に本学の研究教育成果等を概観できる展示スペースを充実する必要がある。

〔プラン〕

①世界に向けて本学の研究教育成果や社会貢献を戦略的・継続的に英語で情報発信し、ステークホルダーに働きかける。②学内又は本学周辺に本学の最新の研究教育成果等を展示するための恒常的な広報展示スペースの設置を図る。

B 東北大学全教職員・学生・地域住民と一体感のある大学づくり

〔背景〕

本学は分散キャンパスとなっており、大学としての一体感が乏しいのが現状である。今後の東北大学の発展にとって教職員・学生・地域住民とのコミュニケーションを豊かにしていく仕組みを強化することが重要である。

〔プラン〕

様々な場面において教職員・学生・地域住民と一体感の創成を図れるようにする。①学内情報基盤を活用することにより「学内コミュニケーション」の活性化を図る。②「世界と競争しながら地域と調和する大学」を目指し、仙台市・宮城県・近隣自治体と協力して、学術・文化・教育・都市計画・環境・交通などの多面的な取組の活性化を図る。③コンサートホール機能を備えた東北大学百周年記念会館等で行われる各種イベントを通じて一体感を醸成していく。④東北大学百周年記念会館、図書館等を学内の教育・研究や学生の課外活動はもとより、市民に開かれたキャンパス施設として積極的に開放する。

C 同窓会の充実

〔背景〕

卒業生は本学にとって非常に大きな財産であり、本学は卒業生にとって誇りとなる故郷でありたいと考えている。平成19年10月には創立100周年を機に東北大学校友会が発足した。今後の大学の発展には大学と同窓会が一体となり連携するとともに、学生への目に見える支援として、教育研究活動への物心両面にわたる援助、奨学金制度の拡充等が重要となる。

〔プラン〕

本学の同窓会、現旧の教職員、在校生、卒業生、修了生、在校生の家族等が一体となった大学運営を目指して、東北大学校友会を中心とした校友へのサービスを通じて大学と卒業生の実効性ある連携を強化する。経営協議会や総長選考会議に同窓会の直接・間接の意向が伝わるようにするなど、大学運営に同窓生等の意向を組み入れる仕組みを検討する。

5-(5) 中期目標・中期計画への適切な対応

A 第一期中期目標・中期計画の評価結果の分析・対応と世界的視点での外部評価への対応

〔背景〕

平成21年3月に大学評価・学位授与機構より教育研究評価に関する評価報告書が公表された。この評価結果の分析、さらに世界的視点からの外部評価を活用し、今後の大学組織・運営に反映していくことが重要となる。

〔プラン〕

①平成20年度に大学評価・学位授与機構が実施した第一期中期目標・中期計画の達成度評価結果を分析し、大学の運営に活用する。②世界的視点での欧州大学協会による外部評価を実施する。

B 井上プランを基軸とする第二期中期目標・中期計画の策定

〔背景〕

国立大学法人は6年ごとに中期目標・中期計画を策定する必要がある。平成21年度には第一期中期目標期間が終了し、平成22年度から始まる第二期中期目標期間の中期目標・中期計画を策定する必要がある。

〔プラン〕

本プランを第二期中期目標・中期計画の基軸と位置付け、その策定作業を集中的に実行する責任体制を整備の上、各策定段階における部局との適切なプロセスを踏みながら第二期中期目標・中期計画の策定作業を進める。策定された第二期中期目標・中期計画について、部局の計画として推進される仕組みや中期計画の実施状況の継続的なチェックシステムを整備する。

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