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里見進総長

新年明けましておめでとうございます。今年もどうぞ宜しくお願いいたします。
 今年はいよいよ私の総長としての任期の最後の年となりました。残りは3か月と短いのですが、有終の美を飾れるように精いっぱい努力をしたいと思います。  

昨年1年を振り返ってみますと、大きな出来事がいくつかありました。
 3月に農学研究科の青葉山新キャンパスへの移転が完了し、4月からは新しい環境での教育や研究が始まりました。西澤潤一総長の時代に始まった青葉山新キャンパス構想がやっと一区切りを迎えたことになります。青葉山キャンパス全体の図書館機能を持つ青葉山コモンズも同時に完成しましたので、地下鉄の駅から農学研究科に至るメインロードには環境科学研究科、災害科学国際研究所などが立ち並び、学生諸君からは「まるで日本の大学ではないみたいだ。」との声が上がっています。今年の3月には地下鉄青葉山駅前に、1,2階にレストランやコンビニエンスストアが入り、3階には100名規模の保育所を有する福利厚生施設が完成します。また、10月には仙台市を見下ろす丘の上に、750名規模のユニバーシティ・ハウス(日本人と海外からの学生の混住寮)が完成しますので、本学の国際化は一段と加速するものと期待しています。3月の学位記授与式の翌日、卒業生の有志の皆さんには、青葉山コモンズから見えるゴルフ場跡の芝生の稜線に桜の苗木を植えてもらうことにしています。数年後には桜の花びらの舞い散る美しいキャンパスになっていると思います。
 6月には「指定国立大学法人」の指定を受けました。指定国立大学とは世界の有力大学と対等に競い合っていくことを期待される大学、またそのような準備を行ってきた大学を、文部科学大臣が厳密な評価の上で選定するもので、今回は東京大学、京都大学と本学の3大学だけが指定されました。本学がこれまで取り組んできた教育、研究、産学連携などの社会連携、またガバナンス改革などが高く評価された結果だと喜んでいます。国内ではそれほど大きな反響はなかったのですが、海外では注目されているようで、訪問したいくつかの大学から祝福を受けました。この指定により本学の国際的なステータスは確実に上がったと感じています。今後は申請時に提案したいくつかのことを確実に実践し、内実を高めることが必要となります。
 11月には災害科学国際研究所が中心になって、世界防災フォーラムを開催しました。防災国体との同時開催でしたので、1万名を超える入場者が集まりました。世界防災フォーラムは今後ダボスで開かれる会議と交互に仙台で2年に一度開催されることになります。3年前の国連防災世界会議の際には「仙台防災枠組」が決議されております。「仙台」と「防災」の名称は今後確実に世界に認知され、同時に災害科学国際研究所も世界の防災学の中心として発展してくれるものと確信しています。
 これらの出来事以外にも、昨年は嬉しい話題がありました。
 5月に片平キャンパスが国土交通省の選定する都市景観大賞の特別賞を受賞しました。大学の建物が個別にこの賞を受賞したケースはあるのですが、キャンパス全体が選ばれたのは日本の大学で本学の片平キャンパスが初めてとのことです。さらに10月には魯迅の階段教室や史料館となっている旧附属図書館など片平キャンパスの5つの建物が、登録有形文化財の指定を受けました。この二つの受賞は、歴史的な建造物を保存しながら市民に開放的なキャンパス環境を整えてきた本学の努力が高く評価されたものです。
 もう一つのニュースは七大戦での優勝です。前年は東大に敗れてしまいましたが、その前まで3連覇しておりましたので、私は総長として4回優勝したことになります。七大学の歴代の総長で、任期中に4回優勝した総長はいなかったとのことですので、当分は記録保持者として私の名前が残ります。元気いっぱい戦ってくれた学生諸君に感謝いたします。  

震災の翌年に総長の任期がスタートし、あっという間に6年が過ぎようとしています。この間にどれだけのことができたのかは、後に評価されることと思いますが、自分では少なくとも学内が落ち着きを取り戻し、学生も教職員も明るく前を向いて歩き出したと感じております。4月からは新しい総長の下で新たな東北大学の歴史を創ってくださることを期待しております。

平成30年1月4日


東北大学総長

里見 進

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