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東北大学の使命

このたび、東北大学の総長を拝命いたしました。本学は、1907年の建学以来、111年にわたって、「研究第一主義」の伝統、「門戸開放」の理念、及び「実学尊重」の精神のもと、多くの指導的人材を輩出し、また研究成果を挙げてきました。我が国を代表する総合研究大学として、東北大学をさらに発展させるため、これから力を尽くして参ります。どうぞよろしくお願いいたします。
 さて、私たちが生きている世界は、今、大きく変わろうとしています。グローバリゼーションの一層の進展はもちろんのこと、第4次産業革命の進行、特に人工知能やIoT(Internet of Things)の急速な普及により、社会の仕組みが根本から変わりつつあると多くの人が感じています。また、国際社会の多極化に伴って日々複雑さを増す国際情勢も、世界が転換期を迎えていることを示唆しています。このように地球規模で社会・経済の構造が急激に変化する中で、広義のイノベーションの源泉となる卓越した知と、イノベーションそのものの根幹を担う多彩な人材を生み出す総合研究大学の役割は、かつてないほど重要性を増しています。

創造と変革を先導する大学へ

里見進 前総長は、東日本大震災の直後、2012年に総長に就任され、混乱した状況にあった本学の学生・教職員を勇気づけ、24年にわたるキャンパス整備事業を継承して世界に誇るべき青葉山新キャンパスを拓き、本学をこれまでにも増して活力ある大学へと発展させました。私の総長としての役割は、その成果を土台として、東北大学を「創造と変革を先導する世界屈指の大学」へと成長、飛躍させることです。ここで私たちに求められることは、「世界最高水準の知を創造」することであり、「未来を拓く変革を先導」することであると考えます。これらの営みを通して、学生諸君や若い研究者たちの挑む心を受けとめ、伸ばし、世界で活躍できる人材を育成しなければなりません。

世界最高水準の知を創造する

第一の目標である、世界最高水準の知の創造は、研究第一主義を標榜する本学にとって、建学以来のミッションでもあります。深い学術的理解を追究する基礎研究に加え、社会的ニーズに応える応用研究・基盤研究など、多様な研究を世界的に高い水準を目指して推進する必要があります。これらの卓越した研究を基盤として、先進的な国際共同教育を展開し、世界をリードする人材を輩出します。さらに、分野・国境を越えたオープンサイエンスを加速し、国際的な協働を通して新たな知識や価値を創造します。以上のような多面的な取り組みの総合をもって国際プレゼンスの抜本的な向上を図ります。

未来を拓く変革を先導する

第二に、東北大学は、未来に向けて社会・経済の変革を力強く先導する存在となります。本学は、東日本大震災の被災地に所在する総合研究大学として、これまで地域の復興・新生を牽引し、「社会と共にある大学」という新たなアイデンティティを獲得してきました。現在、本学のあらゆる学問領域は、社会との多様な接点を有しており、社会との双方向の協働を通して価値創造を行っています。今後、このような広義の「社会連携」に対する組織感度を高め、社会のパートナーと共に新たな挑戦に取り組んでいきます。3.11の経験を土台としつつ、多様な社会課題に対して大学の総合力を活かした解を与えるとともに、イノベーションの源泉となる優れた研究成果を創出し、次世代を担う有為な人材を育成します。

伝統を基盤として新たな挑戦へ

さて、東北大学の111年の伝統は、私たち構成員にとってどのような意味を持つのでしょうか。この伝統とは、東北大学の歴史から見て、現在の私たちが到達することを期待される高いスタンダードであると、私は考えています。昨年、本学はこの伝統に基づく活動に支えられて、「指定国立大学法人」の最初の三校に選ばれました。この中で、時代に追従するのではなく、創造と変革を先導して未来を切り拓くことにより、「世界から尊敬される三十傑大学」を目指すことを掲げました。これは、学生諸君、教職員、私も含めた、東北大学全体にとって、真に挑戦する価値のある目標であると確信しています。
 国立大学法人といえども安定した環境が約束されていない時代です。しかし、このような制約の中でも、私たちには新たな物事の進め方を生み出す知の力があります。卓越した教育研究の展開を通して、本学でしか成しえない人材育成と社会連携の成果が形づくられ、それによって国内外における本学の価値が一層高まり、ひいては、それが本学の新たな活力の源となります。この好循環を構成員、関係者の皆様と一緒に確立していきたいと思います。

 皆様のご理解とご支援をお願い申し上げ、総長就任のご挨拶とさせていただきます。

2018年(平成30年)4月


東北大学総長

大野 英男

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