Column
東北大学国際文化研究科 高橋教授
Column No.021 千代の富士はなぜ強いのですか?

2007/ 5/16


私が働いている大学院国際文化研究科は川内キャンパスにあり、留学生が多い研究科です。
大学院前期(修士)・後期(博士)課程学生および研究生を合わせて、合計241名(平成18年11月1日現在)のうち、107人(44.4%)が中国、韓国、モンゴル、フィリッピンなどからの留学生です。
日本人学生も約半数が留学生という国際的環境の中で大学院生活を送っています。


私の以前の仕事場は片平キャンパスにある素材工学研究所(現在は多元物質科学研究所)でしたが、
そこも留学生の多いところでした。
現在の大相撲はモンゴル出身の朝青龍の全盛時代ですが、
当時は普通の力士よりも体が小さい千代の富士と、特に大きな大乃国の2人の横綱がいました。
二人の対戦では体の大きな大乃国が勝つことは、ほとんどなく千代の富士が一方的に勝つという彼の全盛時代でした。
ちょうど、そのころ中国からの博士課程留学生と次のような話をしたことを思いだしました。

学生「体の大きな大乃国が弱く、小さな千代の富士はなぜ強いのですか?」 
私「それは千代の富士の力と技とスピードの掛け算値が大乃国よりも大きいからだよ」 
学生「ふーん、なるほど」 
私「それは君が今進めている研究にもあてはまる。 つまり、力は体力、技は知識、スピードは情熱に相当する。
したがって、体力と知識と情熱の掛け算値が大きいほど、良い研究成果が得られることになる。
三つのうちどれか一つ欠けても、掛け算値はゼロになる。足し算でないところが大切なのだ。わかったかね」 
学生「・・・?」


中国人留学生とこのような会話をしていた時期、
西欧諸国に比べて受け入れ体制や経験が必ずしも十分とはいえなかった仙台にいて、
留学生はどのような生活を送っているのかが心配でした。
日本の習慣だけでなく、言葉に戸惑い、人権に関わる差別を受けてはいないのだろうかと考えました。
学生たちが研究の面で先に述べた三つの条件をバランスよく満たし、
目的を達成して帰国できること、そして、夫々の国で活躍できることを願っていました。
教員の立場としては、専門知識レベルの向上もさることながら、特に、健康 ( 体力 ) を害していないか、
やる気(情熱)を無くしてはいないか、などにも目を配りながら留学生に接してきました。
もちろん、この三つの条件は留学生に限らず、日本人学生にもあてはまることです。


こんなわけで、毎年4月の新入生オリエンテーションでは「千代の富士はなぜ強いのですか」を話題にして、
新入生に教員たちの考えを伝えることが慣例となっています。

新入生諸君にメッセージを贈ろう。大学生活では「体力と知識と情熱の掛け算値を大きく!を目ざせ 
(関連記事:河北新報夕刊、平成6年11月7日)


 毎年新緑のころ、川内キャンパス周辺・青葉城址への新入生歓迎ハイキングを実施しています。
 この写真は伊達政宗像の前で撮影したもので、前列左が高橋です。他は学生、その内訳は中国 5名、モンゴル4名、日本2名、韓国1名です。
 ハイキングの後は川内生協でのビール祭りでしたが、この日は偶然にも高橋の誕生日に当たり、プレゼントをもらい、ハッピーな一日となりました。





 ハイキングの日の仙台市博物館にある魯迅像前での写真です。高橋以外はすべて中国人留学生。魯迅は世界的に著名な小説家・思想家で、若いころ仙台医学専門学校(現在の東北大学医学部)で1年半、勉強しました。その時の恩師であった藤野厳九郎との交流を描いた小説「藤野先生」は有名です。
  中国では学校の教科書に出てくるため中国人は誰でも魯迅、藤野先生、仙台のことを知っています。したがって、写真に写っている留学生は東北大学では魯迅の後輩にあたります。
 今年(2007年)は魯迅が藤野先生と別れて100年目、
東北大学創立100周年記念行事と合わせて、いろいろな催しが企画されています。

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