Column
東北大学副学長 野家教授
Column No.022 「機関リポジトリ」って何?―TOURの公開に当たって―

2007/ 6/26


「機関リポジトリ」という言葉をご存知ですか?
実をいえば、私自身も図書館長に就任するまでは知りませんでした。
これは、大学などの学術機関が自分のところで生み出された研究成果や教育成果を責任をもって収集・保存し、ネットを通じて「誰にでも・無償で」提供しようという仕組みのことです。
これによって、大学はその実績をアピールし、同時にその成果を十分に活用することができます。
世界では約800の学術機関が、日本でも50を超える大学が、それぞれ特色ある「機関リポジトリ」を立ち上げています。


東北大学は今年、創立百周年を迎えます。
この百年の間、膨大な研究活動が積み重ねられ、また教育活動においても熱心な取組みが行われてきました。
しかし、その成果を具体的に知ろうとしても、これまでは有効な手立てがありませんでした。
そんなときに役に立つ心強いツールが「機関リポジトリ」なのです。


他方、教育活動の成果とは何でしょうか。
第一には優れた「人材」ですが、これは機関リポジトリには収録できません。
次善の策として、人材育成の基盤となる「知の継承」、すなわち日々の授業内容を成果と考えることができます。
全国各地から集まった優秀な学生たちに、基礎から最先端までの知識を伝えようと、教員たちはさまざまな工夫をこらして講義ノートを準備し、興味深い資料を作成します。これらの蓄積が、まさに「東北大学の教育」にほかなりません。
また、大学院生が研究者としての第一歩をしるす「学位論文」も立派な教育成果と言えるでしょう。


それでは、これらの研究成果や教育成果には、誰もがアクセスできるのでしょうか。
残念ながら、答えは「No」です。
話を本学の研究者が書いた論文に限っても、それらを掲載した学術雑誌すべてを購入するには莫大な費用がかかり、現実的には不可能です。
ですから、本学の研究成果でありながら、それを読めないという事態が起こります。
教育成果の方は事態がより深刻です。どんなに優れた授業でも、それが終われば記憶の中にしか残りません。
講義ノートや資料は、おそらく教員のファイルの中で眠り続けているはずです。
また、貴重な学位論文も現在は図書館の片隅で埃をかぶったままになっています。


このような不都合を解消するために、本学は昨年 12 月に「東北大学機関リポジトリ:TOUR」を公開し、研究・教育成果の収集を始めました。
TOURの特徴は、学位論文や教材などの教育成果を重視している点にあります。
いまだ発展途上のサイトですが、現在や将来のみならず、過去に遡って資料を収集できれば、本学の新たな姿が浮かび上がってくるのではないかと思っています。

東北大学 TOUR(TOhoku University Repository)ホームページ

東北大学附属図書館のホームページから入れますので、ぜひ一度アクセスしてみてください。
思いもかけない学問の世界を旅する(TOUR)ことができるはずです。

Have a nice TOUR !

東北大学 TOUR(TOhoku University Repository)ホームページ




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