Interview-P.03

これからの研究目標

 これからどのような研究に挑戦したいとお考えですか。計画をお聞かせください。

 大学生の時にマルタン・デュ・ガールの『チボー家の人々』という小説を読みまして、この本を高校生のときに読んでいたら、私は医学部に行っていました。医者の仕事は、自分達の能力レベルに合わせて患者が病気になるわけではなく、医者が手も足も出ない病気にかかっている人が「先生助けて」と言ってくるわけですから・・・大変だと思います。
 それに比べると自分達工業系の仕事は、自分達が開発した技術を駆使し、できることを工夫して各種システム製品を世の中に役立てているだけですし、世の中の人が我々にもっとこうして欲しいと思っている事があったとしても、できないものはできないと言ってきました。例えば、何も知らない人が、自分の話し言葉でグローバル・ネットワーク社会を駆使できるよう、対話型のインテリジェントなヒューマン・インターフェースを作ってくれと思ってるとしましょう。でも、今はできませんと言うしかありません。
  しかし医者は、現代の医学では手も足も出ない病気になって、とにかく助けてくれと来る者に対しては避けられないですよね。大変辛い仕事だと思います。それを思うと我々の仕事は医者とは比べ物になりません。ですから、これからは少しでも医者の立場に近づくような大勢の人達が欲しいと思う製品、商品を必ず創れるような技術を創り出せるような研究に挑戦したいと思っています。

 振り返ってみますと、我々の先輩達は2つの大きな革命をやってくれました。1つ目は動力革命の第一次産業革命です。蒸気機関の発明により、人間を苦力の世界から解放し、必要な場所に短時間で移動できるようにしてくれました。
 2つ目は通信革命です。1906年の3極真空管の発明からほぼ半世紀をかけて達成された、地球のどの場所にいてもきれいな映像が送れ、連絡が取れるという通信の革命です。この二つの革命は、距離の壁を乗り越えさせてくれたのです。
 しかし、もう1つ乗り越えたい壁があります。それは言葉の壁です。世界中の人々がそれぞれの言葉を使い、生き生きと話している姿を変えるべきではないと思っています。革新的な同時通訳機能、カラー高精細動画像実時間双方向ユビキタスディスプレイシステムで、世界中の人が連絡を取り合えるようにしたいのです。人間と対話型の集積回路を作るのです。「見る・聞く・話す」という機能を備えた集積回路を3次元立体構造で作ろうと思っているのですよ。世界の人々が正しくその意思を伝えられるようになるよう、新しい技術を誕生させ我々がリードしていきたいですね。

 これからは実時間応答が大切なのです。瞬時にレスポンスする瞬時応答機能をどう持たせるかがものすごい重要なポイントだと考えています。自分の言葉で、進んだグローバル・ネットワーク社会を駆使できる技術の創出です。我々も英語を話しますが、簡単に言うと仕事の用が足りる会話であり、自分の思いや感情など語れるレベルではないと思います。ですから、海外の諸君と飲みに行ったときなどは困りますね。
  現在世界では”言葉の壁”でいろいろな事件が起きています。ですから言葉の誤解に基づく事件だけは、うちの研究室の成果で食い止めたいですね。

spacerback/next/Top