StaffActivity
 

 めくるめく機能分子の世界 小林教授

Staff Activity No.023 めくるめく機能分子の世界  
 
2007/11/22

 機能分子というと耳慣れない言葉かもしれませんが、生体内には例えば血液中のヘモグロビンや植物の葉に多く含まれるクロロフィルをはじめとして多くの機能分子があふれており、それらが分子レベルで機能性を発現することにより生命活動を維持しています。また人工的に分子レベルから機能性を組み上げていく手法は、現代社会が抱える様々な問題解決の突破口としても大きな期待が寄せられています。


図1.フタロシアニン(左)とポルフィリン(右) 機能分子化学研究室は、「分子レベルの機能性」を見出し、創り出し、解析することを目的として1995年に発足しました。研究の対象となる分子は、ポルフィリンやフタロシアニンと呼ばれる大環状の芳香族化合物です。これらは紫外可視近赤外の広い領域の光を吸収するために、光ディスクなどの記録媒体、表示素子、癌の光線力学療法色素、太陽電池の光増感剤へと応用されています。我々は基本となるこれらの骨格に変化を加え、その構造と機能性の相関関係の解明を行ってきました。例えば、フタロシアニン骨格により大きな置換基を導入すると、元々は平面である分子が、置換基の立体反発で歪んだ構造を取ります。その歪みの度合いや中心に配位する金属イオンを変化させることで、通常は青色〜緑色を示すフタロシアニンが緑色〜赤色といった様々な色を示すようになることを明らかにしました。これは光吸収に関与する電子状態が、構造の変化に敏感に対応していることを示しており、これを応用すれば、望みの波長に吸収を示す分子を作り出すことが可能です。


 また複数の分子の融合により複合的な機能性を期待した分子として、クラウンエーテル−フタロシアニン複合体やフラーレン−フタロシアニン複合体を合成し、フタロシアニンのみでは見られない特異な性質を明らかにしています。機能分子化学の根本は「ものづくり」にあり、これからも新しい分子を創り出す事により機能分子の新たな一面を提示していくことを目標にしています。


図2.様々な歪みフタロシアニン金属錯体の色、図3.フラーレン・フタロシアニン複合体

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