2008/2/6
私がこの研究を始めたのは、ちょうど団塊の世代が更年期世代といわれた頃であり、1990年代の前半の時期になります。このとき、更年期の症状として女性たちがどのような症状を自覚しているか、またどのように更年期を捉えているのかというところから研究を始め、多様な症状を訴えていることがわかりました。しかし、更年期を「節目の時期」、女性が更年期そのものを「無感覚でいる」、「無視をしようとしている」というように、日々の生活の中で症状を聞いてみると多種多様に訴えるのですが、更年期という現象をないものとしたり、あっても無視をするという捉えかたをしていることも明らかになりました。
私はこの研究を進めていく中で、偶然にも2つのことに出会うことができました。ひとつが、マーガレット・ロックの研究との出会いであり、もうひとつがオーストラリアの看護研究者からの共同研究の申し出でした。マーガレット・ロックは、1980年代の日本の女性は、更年期症状を訴える率が少なく、特に西洋の女性が更年期の特徴とするホットフラッシュは非常に少ないということを報告しており、この報告が西洋では日本女性の更年期症状と信じられてきました。しかし、私の1990年後半に実施した調査では、全く異なる結果がでました。日本の女性は、多くの更年期の症状を訴えており、ホットフラッシュも程度に差があるにしても、かなりの日本女性が体験していたのです。この十数年の違いが女性を変えた、あるいは環境が変わったことによる影響とも言えると思います。そして、さらにこのことを裏付けるのは、オーストラリアとの比較研究でした。文化が違うと出現症状も違う、さらに日本人女性の方がオーストラリア女性よりも多くの症状を訴え、その程度も強いということもわかりました。
世代や文化が更年期という同じ現象を通して体験する症状に違いをださせ、さらに更年期の受け止め方にも違いがあるということです。その違いに添った、ケア方法が必要になってきます。これは多様性を理解し、それに添ったケアを提供することを示唆するものでした。その時代の女性にあったケアの方法を今後も追及していきたいと考えています。

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