2008年10月24日 第39回サイエンスカフェ
伝統芸能をデジタルで伝える ~300年の伝統とCGの出会い~
講師:渡部 信一 東北大学大学院教育情報学研究部 教授
プロフィール
渡部教授は、「デジタルを使って、アナログを考える。」ことをテーマに研究しています。コンピュータ、インターネット、ロボット、モーションキャプチャなどのデジタル・テクノロジーを活用することにより、人間のアナログな側面、特に「教える-学ぶ」という行為について探究しています。主な著書に『鉄腕アトムと晋平君─ロボット研究の進化と自閉症児の発達─』、『ロボッ ト化する子どもたち―「学び」の認知科学―』、編著書に『日本の「わざ」をデジタルで伝える』などがあります。
開催情報
開催日:2008年10月24日(金)16:30~18:15
会場 : イオン石巻ショッピングセンター
後援:石巻市、石巻市教育委員会
概要
この講演では、最先端のテクノロジーを活用した「伝統芸能デジタル化プロジェクト」を紹介し、その意義と限界を探ってゆきます。 伝統芸能は本当に、デジタルで表現し伝えることができるのでしょうか?
Q&A
顔の筋肉の動きなどで、表情もデジタル化できますか?
最先端のモーションキャプチャでは、顔の表情や指の動きまでデジタル化できます。ピアニストの微妙な鍵盤タッチなど、デジタル化できたらすばらしいですね。
デジタルで、人の感情や精神を表現できるようになると思いますか?
モーションキャプチャはあくまでも「動き」を収録する装置ですので、直接、感情や精神を表現することはできません。しかし、モーションキャプチャのデータをCGなどで上手に表現し、それを見た人がそのCGに対し「楽しそう」とか「悲しそう」と感じることが出来たとしたならば、それは「人の感情や精神を表現できる」と言っても良いかもしれません。
データとして取り込んだ動きをロボットなどで正確に再現すれば、雰囲気や迫力は伝わるようになりますか?
ある程度は伝わると思います。実際、モーションキャプチャのデータをロボットに入力し「阿波踊り」を再現したという例があります。しかし、お祭りの雰囲気や迫力がそのまま伝わるまでには、まだまだ研究が必要なようです。
当日の様子