2017年8月25日 第143回サイエンスカフェ
スマホのシェイクを感じる小さなセンサ、次は社会を大きく変える
~MEMSとIoTのお話~
講師:田中 秀治 東北大学大学院工学研究科 教授
プロフィール
1999年 東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。博士(工学)。1999年 東北大学大学院工学研究科助手。2001年 同講師。2003年 同助教授。2013年 同教授(現職)。2004年 科学技術振興機構研究開発戦略センターフェロー(兼務)。2006年 同特任フェロー。MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)と呼ばれる微小な「機械」を研究。産業界との連携に特に力を入れている。
開催情報
開催日:2017年8月25日(金)18:00~19:45
会場 : せんだいメディアテーク
概要
振ったり、歩いたり、登ったり。スマホは貴方の行動をよくわかっています。もちろん電話ですから、しゃべっていることも。スマホはなぜこんなに貴方のことをわかっているのか、このお話でわかってみませんか?そして、話題のIoTとの関係も。
Q&A
Q. シリコンウェハはどうして円形なのか?そこから四角形のセンサを作るとなると、どうしてもあまりができてしまいもったいない。四角形のウェハならムダなく使えるのではないか?
A. シリコンウェハの形は、シリコンを結晶成長させたときの形状に由来します。チョクラルスキー法と呼ばれる方法で成長させると、シリコンは円柱状の結晶となります(これをインゴットと呼びます)。それを輪切りにし、表面を磨いて、シリコンウェハを製造しますので、シリコンウェハは円形になるわけです。MEMSチップは数mm角以下と十分小さいので、円形のシリコンウェハでも端の方までほとんど無駄なく使えます。シリコンの他に皆さんがよく知っている結晶に水晶があります。水晶は水熱合成法と呼ばれる方法で成長させますが、円柱状には成長しません。水晶はクロック発振器としてあらゆる電子機器に用いられていますが、その製造に用いられる水晶ウェハは、多くの場合、円形ではありません。
参考ウェブサイト:
・SUMCO(シリコンウェハメーカー) http://www.sumcosi.com/products/process/
・日本電波工業(水晶デバイスメーカー) http://www.ndk.com/jp/crystal_world/010/index.html
Q. 思ったより製品単価が高いように思う。このコストの大部分は、フォトリソ工程のもので材料自体ではないと考えます。正しいですか?
A. 材料のコストが製品単価の大部分を占めるわけではありません。また、必ずしもフォトリソグラフィ工程がコスト上、支配的であるわけでもありません。各工程にどのくらいのコストがかかるかは、物やエネルギーにかかるコストや人件費の他に、使用する装置群の減価償却費などにもよります。また、工場の稼働率、つまり生産量にもよります。シリコンウェハからMEMSチップができた後にも、テストやパッケージングにコストがかかります。むしろそれらのコストが製品単価に大きな割合を占めることが少なくありません。
当日の様子