2017年7月19日 第142回サイエンスカフェ
あなたのデータで医療を変える
講師:荻島 創一 東北大学東北メディカル・メガバンク機構 准教授
プロフィール
バイオクリニカル情報学分野准教授。 統合データベース室長。東京大学工学部卒業(2000年3月)、東京医科歯科大学大学院修了(博士(医学))。同大学助手・助教、ハイデルベルク大学 定量システム生物学研究所(BIOQUANT) 客員研究員を経て、2012年5月から東北メディカル・メガバンク機構バイオクリニカル情報学分野講師、2014年10月から現職。専門は、トランスレーショナル・バイオインフォマティクス、システム生物学、医療情報学。
開催情報
開催日:2017年7月19日(水)18:00~19:45 ※開催曜日に注意してください
会場 : せんだいメディアテーク
概要
あなたのゲノムデータ、医療データ、生活習慣・環境の日常データによりいかに医療が変わりうるか。あなたの体質にあわせて個別化された、参加型の新しい未来の医療について考えます。
Q&A
Q. 環境要因と遺伝要因とに分けられるが、化学物質と免疫異常又は発病へと関連の重大さを考えると、一面的に思われる。化学がゲノム変異へ影響する仕方についてどうとらえる?
A. 化学物質の健康への影響はおっしゃる通り一定以上のものがある考えられますが、ゲノムそのものへの影響は限定的と考えられています。
Q. 今後データに頼るような医療になっていくのか。また、そのような社会になるには今後何年かかるのか。
A. データに基づく医療は既に始まっています。大規模なデータの扱いが一般的になりつつある昨今、今後遠くない未来に大きな変革があるかも知れません。具体的に何年というのは難しいです。
Q. データの提出を義務付けられる時代は来るのか。
A. データを医療に活かすことに同意することによって、選択肢が広がっていく時代がまず、来るのではないでしょうか。義務付けについては、もう少し違う観点からの検討が必要でしょう。
Q. ゲノムの利用と同時に情報を管理する法律も整備していかなければ、医療に役立つ反面、生命保険に入れない人がでてくるのではないか。
A. おっしゃる通りです。法律に限らず、指針・ガイドラインといったものの整備が進められています。研究のスピードに対して、法律や指針を整備していくスピードが必ずしも十分でないことが課題になりつつあるように感じます。
Q. 「病気」の定義を知りたい。「生活習慣病」は何故「病気」なのか。
A. 病気の定義は、非常に様々です。様々な立場から定義が試みられているのを、簡単にインターネットで調べることができますので、是非、調べてみて下さい。
生活習慣病については、生活習慣が主たる原因となって起こる病気です。生活習慣そのものが病気なのではなく、それが主たる原因となって、心身に不調を起こす、その不調の状態を捉えて病気としていると思います。
Q. 近年データサイエンスというものが注目されつつある。先生が集約させつつあるデータベースにおいて、データサイエンティストに対する需要は高くなると考えられるのか。
A. 程度の差はありますが、高まる一方と思われます。
Q. データで病態が判明したら、どう治療するのか。
A. 病態の判明だけでなく、治療法の選択にもデータが役立つ未来をつくっていきたいと考えます。
当日の様子