2017年10月20日 第145回サイエンスカフェ
見えない光で健康検査~くちびるで血糖値チェック~
講師:松浦 祐司 東北大学大学院医工学研究科 教授
プロフィール
東北大学工学部通信工学科卒業。博士課程修了後は住友電気工業(株)、ニュージャージー州立ラトガース大学を経て東北大学准教授に、2008年から医工学研究科教授。学生時代から一貫して光ファイバの研究に従事してきており、最近はその医療応用について研究を展開している。
開催情報
開催日:2017年10月20日(金)18:00~19:45
会場 : せんだいメディアテーク
概要
目に見えない光「赤外線」を使ってカラダの中のいろいろな成分を見ることができます。採血しないで血糖値を測ったり、息を吹きかけるだけで病気を見つけたり。光を使った最新のヘルスケア技術をわかりやすく紹介します。
Q&A
Q. NBI内視鏡は実際に使われているか。
A. はい,すでに多くの病院で診断法のひとつとして利用されています.
Q. 心電図はわかるか。
A. 心電図は心臓の筋肉の動きとともに発生する電流を検出するものですが,光を使った装置では動脈の血液の流れを見ます.両者の結果はまったく同じにはなりませんが,お互いに関連したデータが得られます.
Q. 苦痛なく飲みこめる細さなのか。
A. 鼻から挿入するタイプのNBI内視鏡(太さ5㎜くらい)もあります.
Q. 悪性とそうでないものの区別はどうするのか。
A. 現在のところ最終的な判断は,鉗子とよばれるピンセットのようなもので,組織を少しだけとって,顕微鏡などで調べて行いますが,これも内視鏡で光を使ってその場で行えるような方法の研究を進めています.
Q. 血糖値の測定が自宅で可能となる時期はいつ頃になるのでしょうか?出来るだけ早期に可能となる様期待しています。
A. 私たちも2-3年での実用化を目指しています.
Q. 光トポグラフィーが、もっと身近に普及したら、市民ももう少し認知症予防につながらないか。
A. 光トポグラフィーを認知症やうつ病の診断の補助として利用できることが最近わかってきました.今後,さらに予防等に用いることが可能になれば,さらに広く普及すると思います.
Q. 早期がんが発見しにくいすい臓がんなどが発見されるメカニズム
A. 最初の診断は血液検査で行うのが通常ですが,その後さらに調べるために超音波内視鏡という,内視鏡の先に超音波エコー診断装置が付いたような機械で調べることも行われています.また研究段階ですが,内視鏡でレーザー光をあてた時に出る音を検出して調べる方法も提案さあれています.
当日の様子