GakuseikyoDayori No.3

学生協だより No.3



学寮(有朋寮、日就寮、以文寮 及び 霽風寮)の
電気料問題について-4月以降の経緯と今後の対応



1 はじめに

 電力会社から請求される学寮の電気料は、(1)基本料、 (2)共通使用部分の電気料、(3)寮生の私的生活部分に係る電気料、 (4)自動販売機に係る電気料とに分かれます。上記4寮においては、 これまで慣行により、業者負担分(4)を除く(1)から(3)の金額を 国と寮生とで6:4の比率に分けて負担してきましたが、昭和47年に会計検査院から、 この負担区分方式では「寮生の私的生活部分に係る電気料」の一部が 国費負担になっていることが指摘され、是正を強く求められました。 本学はそれ以来、この国費超過負担分を是正すべく寮生の説得に努めてきましたが、 有朋寮、日就寮、以文寮及び霽風寮については理解が得られないまま、 昨年10月に会計検査院から3度目となる正式な文書での指摘を受けました。
 今回3度目の会計検査院の指摘は、最後通告にも等しく 本学は厳しい責任を問われたので、 「平成10年4月1日をもって有朋寮、日就寮、以文寮及び霽風寮 における電気料の国費超過負担を是正する」という基本方針を全学の部局で確認し、 昨年10月に評議会で承認しました。これを受けて 学生部長は12月に東北大学学生寮自治会連合(寮連)と会見を行い理解を求めましたが、 寮連側は「電気料是正の白紙撤回」を繰り返すだけで、 話し合いに応じようとはしませんでした。また是正のための具体的な事項について、 寮生と理性的に接触する場があれば話し合いをもつと、 1月の「学生協だより」においても知らせてきましたが、 実質的な話し合いには至りませんでした。
 本学としては、寮生の私生活に係る電気料の一部を研究教育費で賄うことは 寮生以外の学生との公平性や大学予算の目的拘束性からみて適正でないこと、 私的生活部分の自己負担原則は今日の社会通念からみて不合理とは考えられないこと、 また今回の負担区分是正により寮生が新たに負担する電気料は過大ではないこと (注1参照)、この問題の解決は積年の課題であることなどを考えて、 基本方針にしたがって、 今年4月1日から寮生に適正な電気料の支払いを求めることになりました。
 これまで本学は、学生部長名での 公示(2月23日付)「広報」(No.180(臨時号):2月26日付)、 「学生協だより」( No.1:1月19日付 No.2:4月30日付 )、 各寮生に宛てた公示通知(2月24日付- 資料1 資料2、 4月15日付- 資料3)、 今年の受験生へのお知らせ(2月25日付- 資料4)などで、 この問題への理解と基本方針の周知を図ってきました。 しかしながら、これらに対して、一部の学生が公示を剥がし去ったり、 「学生協だより」を持ち去ったり、学生部長に 入学手続きの妨害を示唆する電話をするなどの行為がみられたことは誠に残念でした。
 本号では、4月以降の経緯と今後の大学の方針をお知らせし、 寮生をはじめ全学の学生ならびに教職員に早期解決へのご協力を お願いする次第です。

 注1:寮生1人1ヶ月当りの電気料の比較 (円)    
  新負担区分(平成10年度) 旧負担区分(平成9年度)
5月請求額 6月請求額 5月請求額 6月請求額
 有 朋 寮  1,323  987  866  742
 日 就 寮  1,409 1,242  786  452
 以 文 寮  1,409 1,242 1,218 1,463
 霽 風 寮  1,409 1,242  996  868
 なお、 年平均の負担予想概略値 については、 「広報」第180号 を参照下さい。


2 4月使用分電気料の請求と納入状況

 上記4寮の4月以降の電気料については、公示に基づいて、各寮の寮生に対して 直接請求しました。有朋寮、日就寮、以文寮及び霽風寮の4月使用分電気料は、 5月初めに東北電力株式会社より大学に請求があり、大学は寮生1人当たりの 電気料を計算して、5月15日(日就寮、以文寮及び霽風寮)と18日(有朋寮)付で 各寮生に郵送により請求しました(資料5)。 これに対して、以文寮を除く3寮の寮生代表は 5月20日に今回の請求額に満たない金額を一括して納入しようとしましたが、 大学としてはこれを受領することができませんでした。


3 国庫による支払いと債権の発生及びその後の状況

 東北電力株式会社から大学に対して請求される電気料が検針日より 50日を経過しても納入されない場合は、同社電気供給約款により、 送電停止が行われるおそれがあります。万一、そのような事態になれば、 寮生の生活に重大な影響が及ぶことはいうまでもなく、 停電に伴う災害発生の危険すら予想されます。 また、遅延料金の支払いや職員の処分など会計関係法上の問題も発生します。 これら深刻な事態を避けるために、本学は、やむを得ず、 未払いの寮生の4月使用分電気料については、国庫で支出しました。 これによって本学は未払いの寮生に対して債権を有することになり、 本学歳入徴収官(経理部長)は5月27日付で未払いの有朋寮、日就寮及び霽風寮 の寮生に対して「納入告知書」を、副総長名の説明(資料6) を添えて送付しました。 しかしながら、納付期限の6月15日においても納入されませんでした。
 4月使用分電気料の請求から今日までの間において、5月11日(17時頃)、 6月1日(16時40分頃)、6月4日(18時40分頃)、ヘルメットに覆面姿の寮生約 40~50人が学務部庁舎に乱入し、 庁舎の壁、証明書発行機器等に数多くのビラを強力な糊で貼るなどの行為をしました。 6月8日(16時45分頃)、国際文化研究科の佐竹教授(学寮専門委員会副委員長) ならびに教育学部の池尾助教授(同委員会委員)の研究室付近の廊下等でも 同様の行為をしました。6月7日から8日の深夜に、何者かが農学部研究棟に侵入し、 江原研究室付近の廊下や扉等に多数のビラを貼るとともに、 江原副総長個人を脅迫するかのごとき落書きをするなどの行為をしました。 また、教官個人の写真を無断で撮影し、ビラなどに掲載しました。
 これらの違法行為を含む悪質な行為は、大学の秩序を著しく乱すものであり、 決して容認できるものではありません。今後このようなことがないよう、 関係した諸君の反省と自重を強く求めます。


4 今後の対応

 本学は今後とも未払いの寮生に理解を求めていきますが、 寮生側が私的生活部分の電気料の支払いに応じないのであれば、 連帯保証人にもこの問題の理解とご協力を求めざるを得ないと考えています。 しかし、それでもなお未払いが続くようであれば、遺憾ではありますが、 規程に則して退寮命令を含む厳正な措置をとらざるを得ません。 このような事態に至ることがないよう切に望んでおりますが、再度、 寮生をはじめとする全学の学生、教職員に更なるご理解とご協力を お願いする次第であります。
 一部の寮生は、負担区分是正に踏み切ったことを「一方的措置」であると 非難していますが、 本学は長年にわたってこの問題を解決すべく寮生に働きかけてきました。 しかしながら大学と寮生の間でこの問題に対する理解は、平行線をたどってきました。 そして今回の会計検査院の指摘は、 大学全体の運営にも影響を及ぼしかねないほどの強力なもので、 本学はきわめて重大な事態に直面し、 大学として決定を下さざるを得ない局面を迎えたこと、さらに この問題は基本的に寮自治の問題とは関係がないことを、 あらためてご理解願いたいと思います。


(追記)
 5月使用分電気料の収納については、有朋寮、日就寮及び霽風寮の寮生代表が、 6月18日に前月分と同様に請求額に満たない金額を一括して納入しようとしましたので、 大学としては受領することができませんでした。 その際、寮連による抗議行動がありましたが、 多数の寮生が収納に居合わせた学寮専門委員会及び学生生活協議会の委員を 長時間取り囲み、さまざまな要求に応じることを強要する行為がありました。 このような悪質な行為は、到底容認できるものではなく、また、 そのような状況の下でなされた口頭の言明や取り交わされた文書等の効力は 認められません。



学 生 生 活 協 議 会 



【以下の参考資料は、学生生活協議会において決議・承認されたものを学生部長名 または副総長名で、 寮関係学生に直接郵送により送付した文書であります。】


資料1 各寮生宛ての公示通知

              平成10年2月24日

  寮生各位               

             東北大学学生部長  
               関  俊 彦  

      電気料の寮生負担について       

 標記のことについて、平成10年1月19日発行の「学生協だより」第1号で 大学の考え方等をお知らせしたところですが、 (有朋寮・日就寮・以文寮・霽風寮)の電気料の負担区分等について別紙のとおり 公示しましたのでお知らせします。                 

 注)別紙は 広報第180号(臨時号)参照             


資料2  寮連委員長と有朋寮及び八木山3寮の委員長宛ての通知

 
 

              平成10年2月24日

 

(学生寮自治会連合委員長)           
 (有朋寮、日就寮、以文寮、霽風寮の各委員長)殿      

 

            東北大学学生部長  
               関  俊 彦  

 

      電気料の寮生負担について      

 

 このことについて、○○寮の寮生全員に別紙のとおり、 電気料の寮生負担についての通知文及び公示文を送付したことをお知らせします。
 なお、今回の公示にも示したように、大学としては、電気料の国費負担又は 寮生負担を計測するメーターの設置を以前より当該の寮に要望しておりますが、 寮委員会がメーター設置を受け入れる場合については、その旨を学生部学寮担当 まで回答願います。    

 
(注) 寮生が負担すべき私的生活部分の電気料を正確に算出するためには、 居室に個別メーターを設置することがもっとも合理的であります。 大学はこれまで2度にわたり個別メーターの設置を提案してきました (昭和60年7月「学寮経費の負担区分について」(学生部長の寮生諸君への提案)、 平成3年8月「居室その他の個所における個別メーターの設置」)。
 また、寮連側も八木山3寮の共通棟の電気料の寮間の負担方法に関連して配線工事、 子メーター設置を大学側に申し入れた経緯があります。今回は、 個別メーターまではいかなくても、 電気料の国費負担または寮生負担を計測するメーターの設置を申し入れましたが、 現在まで回答は寄せられていません。

資料3 学寮の諸舎費に関する公示の運用について


              平成10年4月15日 

 ○○寮寮生各位              

            副総長(学務等担当) 

    学寮の諸舎費に関する公示の運用について     

 学寮の諸舎費の内、電気料については、東北大学寄宿舎の寄宿料及び諸舎 費に関する規程に基づき、平成10年2月23日に学生部長名で公示をおこない、平 成10年4月からの負担区分について明示しました。
 ついては、公示の運用について、下記のように取り扱うことを通知します。

         記         

1. 1ヵ月間、寮を不在にする場合の電気料の取り扱いについて
 月の1日から末日までの間、全く寮を不在にする場合で、その旨を翌月の10日 (10日が土日、祝祭日の場合はその前日)までに、別紙様式により厚生課学寮担当に 届け出た場合については、当該者の電気料の徴収は致しません。

 

2. 電気料の請求及び納入について
 平成10年4月以降の電気の使用に係る請求は寮生各人に個別に行います。
 請求時期はおよそ各月の15日前後となり、納入期限は20日前後となりますので 予めご承知おきください。

 

3. 電気料以外の諸舎費は平成9年度と同様に取り扱います。

 


資料4 受験生へのお知らせ

 
 

             平成10年2月25日

 

 東北大学から受験生へのお知らせ
  学生寄宿舎への入寮希望者へ          

 

             東北大学学生部長 
                関  俊 彦 

 

  有朋寮、日就寮、以文寮、霽風寮の電気料金の寮生負担について  

 

 寮生の居室に個別メーターをとりつけていない学寮における電気料は 単一のメーターで計算された料金を大学が負担すべき部分と 寮生が負担すべき私生活の部分に分けて、 寮生には後者の部分の金額の支払いを求めております。
 このたび、標記4寮(男子寮)に係る電気料の負担区分(電気料のうち、 大学が負担する金額と寮生が負担する金額の割合)を、 寮生の私生活に係わる部分の範囲を明確にして是正することとし、 その旨を学内に周知いたしました。
 それぞれの寮においては、当該寮の寮委員会が募集要項にそのことを明示せずに 入寮案内をしている場合があるかもしれませんが、入寮を希望する受験生にあっては、 以上のことをご承知おきください。
 なお、不明な点は東北大学学生部厚生課[学寮担当](TEL022-217-5018、5019) にお問い合わせください。

 


資料5  平成10年5月分(4月使用分)電気料の請求について(八木山3寮)

 
 

            請求番号 1
             文書番号 学厚専第243号
             平成10年5月15日 ※(1)

 

 東北大学○○寮
    学籍番号
      ○○ ○○ 様           

 

          東北大学副総長(学務等担当)
                江 原 淑 夫

 

   平成10年5月分(4月使用分)電気料の請求について   

 

 東北大学寄宿舎の寄宿料及び諸舎費に関する規程により、 電気料として下記金額を請求します。

 

         記         

 

      金 1,409円 ※(2)      

 

 なお、今回請求分の電気料の納入に当っては、 以下の事項に留意して納入期間内に納入して下さい。
 また、納入額が請求金額に満たない場合は、 受領できませんのでこの旨お知らせします。
            
 1、納入方法等は次のとおりです。
 ○納入期間:5月18日(月)から5月22日(金)まで ※(3)
 ○納入時間:午前8時30分から午後4時まで
 ○納入場所:学務部庁舎1階電気料収納事務室
 ○受領者:副総長が指名する者
 2、納入の際は、この請求文書を持参願います。
 また、複数人分の請求金額を一括して納入する場合は、寮名・氏名・学籍番
 号・金額を明記した一括納入者一覧表を添えて納入願います。

(注)なるべく釣銭のいらないよう、請求金額丁度の現金を用意ください。

 ※有朋寮の場合は以下のとおりです。          
  (1) は 平成10年5月18日            
  (2) は 金 1,323円            
  (3) は 納入期間:5月19日(火)から5月25日(月)まで    
     (但し、土・日曜日は除く)       

資料6 納入告知書の送付について(日就寮・霽風寮)


              平成10年5月27日

 東北大学○○寮
    ○○ ○○殿

           東北大学副総長(学務等担当) 
                江 原 淑 夫 

      納入告知書の送付について      

 

 5月分(4月使用分)の電気料について、平成10年5月15日付 ※(1) 学厚専第243号により請求しましたが、 その納入期限の5月25日までに納入されませんでした。
 このまま未納の状態が続くと、 東北電力株式会社による送電停止などの新た問題の発生が懸念されます。
 そこで寮生の生活の支障や災害発生の危険性及び会計関係法上の制約等を 考慮して本学はやむを得ない緊急の措置として、 寮生負担相当額分も合わせて東北電力株式会社へ支払いました。
 このことにより、5月分請求(4月使用分)の電気料のうち 私生活に係る電気料について、寮生に対する国の債権が発生し、 国の債権の管理等に関する法律により管理することとなりました。
 ついては、会計法第6条に基づき東北大学歳入徴収官(経理部長) が発行した納入告知書により、指定期日までに納入してください。

 
 ※有朋寮の場合は以下のとおりです。          
  (1) は 平成10年5月18日            


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