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電子の量子力学的性質とスピンを同時に考慮した スピントロニクスデバイスのシミュレーション技術を開発 ~2層の強磁性体薄膜からなる磁性多層膜の磁化反転電流の予測に成功~

株式会社日立製作所(執行役会長兼執行役社長:川村 隆/以下、日立)と国立大学法人東北大学(総長:井上 明久/以下、東北大)金属材料研究所(所長:中嶋 一雄)は、このたび共同で、固体中の電子が持つ磁気的な性質である「スピン」を制御する、スピントロニクスデバイスのシミュレーション技術を開発しました。開発した技術は、量子力学的な手法により、電子における「スピン」の流れ(スピン流)と、電子単位のスピントルクを計算し、この結果を磁化の動的シミュレーションに組み入れることによって、磁化を反転させる電流を予測する技術です。本技術を、これまで電子の複雑な挙動のために解析することができなかった2層の強磁性体からなる磁性多層膜に用いたところ、磁化が反転する電流をシミュレーションによって予測できることが分かりました。本技術は、磁性多層膜を利用したスピントロニクスデバイスの現象解明や設計に道を拓くものです。

なお、本研究は、独立行政法人科学技術振興機構(JST)の戦略的創造推進事業(CREST)「数値シミュレーションによる新材料・新機能の開発」プロジェクト(プロジェクトリーダー:東北大 金属材料研究所 前川 禎通教授)の一環として実施したものです。

また、本成果は、7月26日からドイツのバーデン=ヴュルテンベルク州の都市カールスルーエで開催される磁性に関する国際会議「International Conference on Magnetism(ICM2009)」で発表する予定です。

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