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平成22年 東北大学総長 年頭所感

  東北大学の皆さん、明けましておめでとうございます。
  新年の門出にあたり、一言ご挨拶申し上げます。

  2009年は文字通り日本史的にも、世界史的にも、そして大学史的にも「チェンジ」 の大波が押し寄せた1年でした。今、私たちは時流を読み、スピード感をもって行動するだけでなく、こんな時代だからこそ、変化をチャンスに変えていくことで、荒波の土俵に立ち向かわなければなりません。
  東北大学には100 年余の歴史があります。今日の東北大学があるのは、私たちの諸 先輩方が「研究第一」、「門戸開放」、「実学尊重」の理念を基本に据えながら、絶えざる研究・教育の創造により、社会からの信頼、尊敬、そして愛情という財産を積み上げてきたからです。地球環境問題、エネルギー問題、食糧問題、ウィルス問題など、私たちの周りには地球規模の課題が山積しています。こうした諸課題についても、総合大学という立場から社会に貢献する研究・教育を創造していくことが、世界リーディング・ユニバーシティとして発展するための私たちの役目だと考えています。
  このような確たる潮流を掴み直し、世界リーディング・ユニバーシティを目指した「井上プラン2007」(東北大学アクションプラン)を発表してから3年。東北大学のプレゼンスは着実に向上しつつあり、様々な取組が少しずつ実を結びつつあると感じています。もちろん社会から知の拠点として人類社会への貢献を委託されている東北大学は、自身の変革をさらに加速していかなければなりません。戦略プランを行動計画にまで落とし込み、できる限り迅速かつ着実に実行に移していきます。
  その決意はこの4月から始まる第二期中期目標・中期計画の中にも込められていま す。価値ある研究・教育をこれまで以上に創造し、世界の人々の期待に応え続けていきます。また、人類社会に更なる価値を提供するためのキーとしてグローバル戦略を一段と進めていきます。このような変化の時代にあっては、世界の英知を先導し、グローバルな視点での研究・教育を創造し、国内外を問わず世界の人々をグローバルにサポートできることこそが、社会の求めるパートナーとしての大学の必須条件と考えています。

  さて、これから3月までは、第一期中期目標・中期計画の仕上げの時期です。中期目標の達成に向けて、最後まで最善を尽くしてください。
  また、この4月から始まる第二期中期目標期間は、国立大学法人東北大学の真価が問われる時だと思っています。このステージでは、何が自分たちの強みなのかを直視し、理想を追求して考えて考えて考え抜き、不断の努力で各々の特性や強みを存分に強化して、キラリと光る価値を創造されることを大いに期待しています。「未来を予測する最善の方法は、自らそれを創り出すことである」という言葉があります。未来を自ら創るというチャレンジ精神は、東北大学の理念に謳われる「研究第一」の真髄でもあります。自由闊達な発想でチャレンジしていきましょう。毎日真剣勝負をして、最後まで諦めずに努力して、大きな成長を目指してください。そうした「千里の道も一歩から」の地道な努力の積み重ねが、本学の新たなステージにおける成長を支えるのです。
  そして皆さんとの円滑なコミュニケーションと強固なチームワークによって、キラリと光る個の成長を大学全体の持続的成長につなげる大きな光にすることこそ、執行部の役目です。変化が常態化する中で大学が成長していくには、大学のミッションに照らした役割を踏まえ、戦略を不断に点検しながら、経営を日に新たに革新し続ける必要があります。執行部一同、皆さんの一層のご支援とご協力を心からお願い申し上げ、これまで以上に皆さんとのコミュニケーションを密にし、ビション・課題認識を共有しながら、知の経営体として大学の発展に全力で取り組んでまいります。
  東北大学の一員としての自覚と誇りを胸に、皆さんの英知と行動によって、明るい未来への展望を切り開いていきましょう。
  このためには、東北大学の皆さんの健康と安全確保に万全を期し、安心して力を発揮できる環境作りに取り組んでいきます。皆さんも心身の健康には十分留意され、知力・体力・気力の維持・向上に努めていただきたいと思います。

  最後になりましたが、皆さんとご家族の方のご健勝とご活躍を祈念して、2010年の年頭の挨拶といたします。


平成22年1月4日 東北大学総長 井上 明久

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