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磁性合金中の電子スピンの超高速運動の観測-ギガビット級磁気抵抗ランダムアクセスメモリの材料開発に貢献-

 東北大学原子分子材料科学高等研究機構の水上成美助教、宮﨑照宣教授らは、同工学研究科の佐久間昭正教授、ならびに安藤康夫教授らとの共同研究により、大きな垂直磁気異方性と低い磁気摩擦を併せ持つ薄膜材料を発見しました。これは、ギガビット級磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)の材料開発を大きく前進させる成果です。

 不揮発性メモリとして注目されているMRAMでは、記憶素子としてトンネル磁気抵抗素子を用います。ギガビット級MRAMでは、素子サイズが数十ナノメートルと小さくなり、熱によるスピンの揺らぎが大きくなるため、高磁気異方性を示す垂直磁化膜が用いられます。しかしながら高磁気異方性を有する垂直磁化膜では、スピンが高速反転する際に働く磁気摩擦が大きくなる傾向があり、情報の書き込み(スピンの反転)に必要な電気量が大きくなるため、高磁気異方性と低磁気摩擦を併せもつ磁性材料の探索およびその物理的機構の解明が望まれています。

 本研究では、単体では磁石にならない元素であるマンガンとガリウムを組み合わせた高磁気異方性マンガンガリウム合金の薄膜に着目しました。超短パルスレーザーを用いて最大約280ギガヘルツのスピンの振動の実時間観測に成功し、低磁気摩擦特性を示すことを発見しました。この結果は理論計算によっても支持され、高磁気異方性と低磁気摩擦の両立が可能であることを実験と理論の両面から実証すると同時に、希土類・貴金属フリーであるマンガンガリウム合金がギガビット級MRAMのためのグリーンマテリアルになる可能性を示しています。

 本研究はゲッチンゲン大学と共同で実施され、3月18日(米国時間)に米国物理学会「Physical Review Letters(フィジカルレビューレターズ)」に掲載されました。

 

 詳細(プレスリリース本文)PDF

 

<お問い合わせ先>

水上成美 (ミズカミ シゲミ)

東北大学原子分子材料科学高等研究機構 助教

〒980-8577 宮城県仙台市青葉区片平2−1−1

Tel: 022-217-6003 Fax: 022-217-6003

E-mail: mizukami*wpi-aimr.tohoku.ac.jp (*を@に置き換えてください)

 

宮﨑 照宣 (ミヤザキ テルノブ)

東北大学原子分子材料科学高等研究機構 教授

〒980-8577 宮城県仙台市青葉区片平2−1−1

Tel: 022-217-6000 Fax: 022-217-6003

E-mail: miyazaki*wpi-aimr.tohoku.ac.jp (*を@に置き換えてください)

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