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血管内皮増殖因子受容体のわずかな発現量の差が持続的な血管新生を誘導するメカニズムの発見 ~動脈硬化性疾患の新たな治療法開発への期待~

 東北大学病院がんセンター・大内憲明 センター長(教授)、同病院・濱田庸医員、同医学系研究科・権田幸祐 講師らの研究グループは、血管新生の仕組みを世界最高精度で解析できる光学装置を開発し、独自の虚血モデルマウスを使って、分子レベルで超高精度な生体観察を行いました。その結果、血管内皮増殖因子受容体のわずかな発現量の差が持続的な血管新生を誘導するメカニズムの発見に成功しました。これは従来の概念とは異なる血管新生の仕組みの発見であり、動脈硬化性疾患の新たな治療法開発に応用されることが期待されます。

 脳梗塞や心筋疾患などを含む動脈硬化性疾患は国内死因の1/3を占めており、この治療法開発に血管新生メカニズムの理解は欠かせません。血管新生では、細胞膜たんぱく質の1つである血管内皮増殖因子受容体が、10-20倍に過剰発現することが新たな血管の構築に重要であると長年信じられてきました。我々の開発装置でモデルマウス生体内の血管新生を可視化した結果、血管内皮増殖因子受容体の発現量がわずか3倍増加することで、持続的(3週間)な血管新生を誘導することを世界に先駆けて発見しました。

 本研究の光学システムにより、生理的環境下における血管新生の分子メカニズムのさらなる解明が見込まれます。また、本研究成果は、動脈硬化性疾患由来の虚血組織に対し、血管内皮増殖因子受容体の発現量を数倍増加させるだけで、治療に有効な血管新生を疾患部位特異的に誘導できることを示唆しています。この概念は、動脈硬化性疾患の治療部位を限定できるため、局所的かつ低副作用を併せ持つ新たな治療法開発へ発展することが期待されます。 本研究の成果は2011年9月29日に生命科学分野の学術誌「Blood」にオンライン掲載されます。

 

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<お問い合わせ先>

 権田 幸祐 (ゴンダ コウスケ)

 東北大学大学院医学系研究科・講師

 〒980-8574 宮城県仙台市青葉区星陵町1-1

 東北大学未来医工学治療開発センター(TRセンター)5S04

 TEL/FAX: 022-717-7579

 E-Mail: gonda*m.tains.tohoku.ac.jp (*を@に置き換えて下さい)

 

 濱田 庸(ハマダ ヨウ)

 東北大学病院 移植・再建・内視鏡外科 医員

 〒980-8574 宮城県仙台市青葉区星陵町1-1

 東北大学未来医工学治療開発センター(TRセンター)5S04

 E-mail: yhamada*med.tohoku.ac.jp (*を@に置き換えて下さい)

 

 大内 憲明 (オオウチ ノリアキ)

 東北大学病院がんセンター・センター長 兼東北大学大学院医学系研究科・教授

 〒980-8574 宮城県仙台市青葉区星陵町1-1

 東北大学 医学部2号館9F 第二外科

 TEL: 022-717-7210

 FAX: 022-717-7217

 E-Mail: noriaki-ohuchi*med.tohoku.ac.jp (*を@に置き換えて下さい)

 

<報道担当>

 長神 風二 (ナガミ フウジ)

 東北大学大学院医学系研究科広報室

 〒980-8575 宮城県仙台市青葉区星陵町2-1

 東北大学 医学部1号館2F

 TEL:022-717-7908

 FAX:022-717-7923

 E-mail: f-nagami*med.tohoku.ac.jp (*を@に置き換えて下さい)

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