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ラット軟組織内における多層カーボンナノチューブの長期間生体持続性を評価

 東北大学大学院環境科学研究科 佐藤義倫准教授は、北海道大学大学院歯学研究科、株式会社 日立ハイテクノロジーズ、株式会社 堀場製作所、独立行政法人 産業技術総合研究所、ブルカー・ダルトニクス株式会社、ネッチ・ジャパン株式会社との共同研究において、2年間にわたって、ラット胸部軟組織に埋入した絡み形状を持つ酸素含有官能基(ヒドロキシル基、カルボキシル基)修飾多層カーボンナノチューブ(tangled oxidized multi-walled carbon nanotubes: t-ox-MWCNTs)の構造を透過型電子顕微鏡、ラマン散乱分光法を用いて評価しました。その結果、埋入2年後、マクロファージ内のライソゾームにある一部のt-ox-MWCNTsではナノチューブの構造が分解されているが、細胞間隙(マクロファージ外)にあるt-ox-MWCNTsでは、1週、2年後とも、埋入前のナノチューブの構造とほぼ変化がなく、マクロファージに貪食されず、ナノチューブの構造が壊れないことを明らかにしました。
 生体外・生体内実験において、カルボキシル基修飾されている単層カーボンナノチューブや多層カーボンナノチューブがマクロファージや好中球などの貪食細胞中のライソゾーム内で生分解されることが知られていましたが、軟組織のマクロファージ内外でのCNTの長期間構造安定性は調べられていませんでした。この研究成果によって、CNT生体材料は軟組織内で良好な生体適合性を持ち、CNTが分解せずに生体材料としての機能を保つことができるため、より軽量で強度のあるCNT生体材料の人工関節材や骨材への利用が期待されます。
 本成果は、8月28日付でNature Publishing Groupが発行しているオープンアクセスジャーナル誌「Scientific Reports」に掲載されています。

 

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[問合せ先]
東北大学大学院環境科学研究科
准教授 佐藤 義倫
TEL:022-795-3215
E-mail:hige*ncsimd.kankyo.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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