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空間的記憶や情動的記憶をつかさどる海馬を中心とした神経ネットワークの解明

 東北大学大学院生命科学研究科の飯島敏夫教授らのグループは、ニューロン(神経細胞)からニューロンへとシナプスを超えて次々に伝播する遺伝子組換えウイルスを用いて、ラットの海馬に情報を送る神経ネットワークの構造を調べました。カシューナッツのような細長い形のラット海馬体の約3分の2をなす背側の部分(背側海馬)と、残り3分の1をなす腹側の部分(腹側海馬)は近年の研究からそれぞれ、空間的記憶の形成と情動を伴う記憶の形成に強く関与すると考えられてきています。今回の研究でそれぞれの部位は、梨状皮質や内側縫線核、内側手綱核などの脳領域から入力を受けること、そしてそれら入力回路のあいだにはほとんど重なりが認められない、すなわち情報の干渉がなく独立していることを世界で初めて直接的に証明しました。長軸方向に沿って異なると考えられる海馬の記憶形成能の違いは、この入力回路の独立性という構造的基盤によって支えられているものと考えられます。海馬に入力する複雑な情報流路の一端を明らかにした本研究結果は、海馬を中心とした記憶形成メカニズムの解明に大きく貢献すると期待されます。この研究成果は、生命科学・医学を含む科学分野全般に高く評価されている米国科学誌Public Library of Science (PLoS ONE) (11月5日号電子版)に掲載されます。

 

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[問合せ先]
東北大学大学院生命科学研究科
教授  飯島 敏夫 (いいじま としお)
電話番号:022-217-5046
Eメール:t-iijima*m.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
 

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