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有機化合物における新しい相転移現象を発見 有機エレクトロニクスとしての新たな利用へ期待

 物質の状態は、外界の温度によって大きく変化します。例えば、水(液相)は温度を下げると氷(固相)に変わります。このような相の変化を、相転移といいます。また、水温が0℃になると、水の一部が凍り始めることから、水と氷という2つの異なる状態は0℃においてのみ共存し、それより高温では水という液体の状態、逆に低温では氷という固体の状態、のように0℃以外では通常どちらか一方の状態だけが実現します。つまり、水にとっての0℃は液相と固相の境目であり、相転移温度と呼ばれます。
 今回、名古屋大学大学院理学研究科の機能性物質物性研究グループ(岡崎竜二助教、寺崎一郎教授)は、高輝度光科学研究センターの池本夕佳副主幹研究員・森脇太郎副主幹研究員、東京大学の森初果教授のグループ、東北大学の佐々木孝彦教授のグループとの共同研究により、有機分子でできた化合物において、相転移温度である-200℃から絶対零度(約-273℃)近くという広い範囲で、あたかも水と氷という2つの異なる状態が共存するように、2つの異なる電子状態が1つの試料中で空間的に住み分けて存在することを発見しました。
 通常、相転移が起こると、試料中の電子状態は空間的に均一であると考えられてきたことから、このような2つの電子状態が共存した相転移は、従来の常識を覆す現象といえます。このような共存状態は電場などの外場に対して敏感に変化することが予想されており、今後、共存状態を利用した巨大非線形素子などといった、新しい有機エレクトロニクス材料としての研究の展開が期待されます。

 

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