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オゾン層破壊をもたらす大気中の塩化水素が北半球で近年増加 ―原因は短期的な大気循環の変動―

フロン類の規制により、オゾン層破壊の元となる成層圏大気中の塩素総量は1990年後半から世界的に減少していると報告されています。

東北大学、国立環境研究所を含むベルギー他8カ国のメンバーによる研究グループは、国際的なネットワークを構成して観測を行っているフーリエ変換型赤外分光計を用いた地上観測および人工衛星観測により、オゾン層破壊をもたらす塩化水素(HCl)濃度が北半球下部成層圏で2007年以降増加していることを発見しました。この増加の原因は、大気モデルによるシミュレーション結果との比較から、北半球の大気循環の数年程度の短期的な減速であることが分かりました。上記の国際観測ネットワークの中で、東北大学と国立環境研究所は、茨城県つくば市におけるFTIR観測を担当しました。なお、今回発見された塩化水素濃度の増加は一時的な現象であり、モントリオール議定書によるフロンの排出規制の効果を否定するものではないことを、科学的検証により確認しています。しかし、今回示したような大気循環の数年程度の変動はHClやその他の大気成分に変動をもたらすため、今後の成層圏オゾン層回復の様子を調べる際には、このような大気循環の変動を十分に考慮する必要があります。

なお、本研究結果は、日本時間11月6日(木)に英国科学雑誌「Nature」に掲載されました。

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問い合わせ先

国立大学法人東北大学大学院環境科学研究科
太陽地球システム・エネルギー学講座
太陽地球計測学分野
准教授 村田 功
電話:022-795-5776
e-mail:murata*pat.gp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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