2014年 | プレスリリース・研究成果
アインシュタインとボーアの思考実験を分子レベルで実現!
東北大学多元物質科学研究所の上田潔教授、フランスのソレイユシンクロトロン放射光施設のCatalin Miron研究員のグループ、スウェーデン王立工科大学のFaris Gel'mukhanov教授らの合同チームは、アインシュタインとボーアの論争で思考実験として提案された2重スリット実験を、酸素分子の2個の酸素原子を2重スリットに置き換えることによって、初めて、実現しました。
アインシュタインとボーアは、 20世紀前半、光や電子があわせ持つ波としての性質と粒子としての性質の2重性の解釈について、論争を繰り広げました。彼らが論争の際に用いた手法は思考実験です。実際には実験を行うことなく、理論的思考によって実験結果を演繹するものでした。彼らの思考実験は、当時、実現できないものばかりでしたが、のちの研究者の想像力を大いに掻き立てました。現在も様々な実験的検証が行われています。合同チームは、アインシュタインとボーアの論争でも主要な位置を占める2重スリット実験を分子レベルで実現しました。そして、ボーアの反論を裏付けるように、一方のスリット(原子)だけが受ける電子の反跳運動量を観測した場合には干渉縞が消え、これが観測できない場合には干渉縞が現れることを、初めて、実証することに成功しました。
この結果は、英国の科学雑誌『Nature Photonics』オンライン版(12月1日付け:日本時間12月2日)に掲載されます。
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東北大学多元物質科学研究所
教授 上田 潔
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