2015年 | プレスリリース・研究成果
ヒト細胞が放射線による障害を感知して転写を止め障害を修復する仕組みを解明
東北大学加齢医学研究所・加齢ゲノム制御プロテオーム寄付研究部門(安井 明教授)は発癌や細胞老化の原因となるDNAの傷が細胞内でどのように修復されるかを研究しています。
この度、同部門の宇井彩子博士・安井明教授らのグループは、放射線の最も深刻な影響であるDNAの二本鎖切断が生じた近傍の転写(DNAの情報をRNAに読み取る過程)が止まる仕組みを解明しました。その機構は丁度、前方の障害により進行中の電車の運転手に停止シグナルが伝えられブレーキがかかり近くの電車が次々と止められ、そのことにより障害の修理が起き、修理が終わると近くの電車から運転を始める様な機構であることを明らかにしました。さらにこの機構が放射線による細胞死を抑え、さらに細胞の癌化や老化を抑えていることが分りました。
本来は転写を進行させる因子が、転写を抑える因子を呼び寄せてそれぞれの進行している転写の現場で転写を抑制し、それが二重鎖切断の修復蛋白質を呼び寄せ修復を行ない再び転写が開始する機構の発見は、従来知られていない画期的な研究成果として、Molecular Cellに発表される運びとなりました。論文は2015年4月23日にonline発行される同誌に掲載予定です。
図1 二重鎖切断に遭遇した転写はストップし、修復蛋白が呼び寄せられる。
図2 転写が止まって損傷の修復が起きる過程は電車の停止、線路の修復と似ている。
問い合わせ先
東北大学加齢医学研究所
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担当:安井 明
電話番号: 022-717-8465
E-mail: ayasui*idac.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)