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光感度をISO16000に高めた毎秒1000万コマの超高速撮影が可能な高速度ビデオカメラの製品実用化に成功

東北大学大学院工学研究科技術社会システム専攻 須川成利教授の研究グループは、(株)島津製作所(代表取締役社長 上田輝久)との共同開発により、常用光感度ISO16000で毎秒1,000万コマの超高速撮影が可能な高感度高速CMOSイメージセンサの量産開発に成功し、この度、このCMOSイメージセンサを搭載した高速度ビデオカメラの製品発表を島津製作所が行いました。

高速度ビデオカメラ「Hyper Vision HPV-X2」は、2012年9月に製品実用化した従来機で達成した世界最高クラスの毎秒1,000万コマという最高撮影速度を引き継ぎながら、新しい高速CMOSイメージセンサ「FTCMOS2」の搭載によって、光感度を大幅に高めた製品です。光感度の向上により、顕微鏡下のような暗い撮影条件でも鮮明な画像を得ることができます。

今回製品開発に成功したCMOSイメージセンサ「FTCMOS2」は、従来機に搭載したイメージセンサの画素構造・回路設計を根本から見直し、世界最高クラスの高速撮影性能を維持しながら、大幅な光感度の向上を達成いたしました。

本高速度ビデオカメラによって、薬剤を封入した微細カプセルとがん細胞が相互に作用する様子や、自動車のインジェクタの燃料噴射過程、インクジェットプリンタのインク吐出過程など、これまで光感度不足で困難であった様々な超高速現象の観察が可能となります。

なお、高速度ビデオカメラは、島津製作所より7月16日に発売されました。

また、本高速度ビデオカメラは、7月19日開催の学都「宮城・仙台」サイエンス・デイ2015、および7月29日~30日開催の東北大学オープンキャンパス2015にて、デモ展示いたします。

開発の背景

先端材料や先端機器の高速動力学の研究を始め、プラズマや放電など超高速現象の研究分野では、画像を用いた観察や解析が不可欠です。2012年には、(株)島津製作所と共同で開発したCMOSイメージセンサ「FTCMOS」を搭載して製品実用化した「Hyper Vision HPV-X」は、世界最高クラスの1,000万コマ/秒の最高撮影速度を実現し、超高速撮影と長時間撮影を可能にして、超高速現象の研究に寄与してきました。

近年の医療分野や産業分野では、マイクロバブル、インクジェット、インジェクションなど、微小な領域で起こる超高速現象を顕微鏡下で観察が行われる研究が増加しています。高速度ビデオカメラで顕微鏡を用いて撮影する場合、高倍率な光学系と組み合わせて使用するため、イメージセンサに入射するわずかな光を捉えられる高い光感度が必要とされていました。

また、炭素繊維強化プラスチックといった材料の強度試験や高速衝撃試験においては、2台の高速度ビデオカメラでステレオ撮影を行い、材料の破壊時や高速衝撃時の変形挙動の3次元的な解析が行われています。

高速度ビデオカメラ「Hyper Vision HPV-X2」には、東北大学と島津製作所で共同開発した新しいCMOSイメージセンサ「FTCMOS2」を搭載しています。画素数などの基本性能はそのままに、従来機よりも大幅に高い光感度を実現しました。また、本製品2台を同期させて同じタイミングで撮影する機能も新たに搭載しました。航空・宇宙機器や自動車、産業機器等の研究開発を始め、医療分野の基礎研究など、より幅広い応用分野で使用できます。

新製品の特長

1. 従来機の約6倍となる光感度を実現

東北大学と島津製作所で共同開発した新型イメージセンサ「FTCMOS2」の搭載により、最高撮影速度が100万コマ/秒以上かつQVGA(320×240ピクセル)以上の実用的な記録解像度を有する高速度ビデオカメラ製品の中では世界最高クラスとなるISO16000の光感度を実現しました。これは従来機の約6倍の光感度であり、同じ光学条件では従来機よりも明るく鮮明な画像を得ることができます。

2. 2台の装置の撮影タイミングを同期させる同期撮影機能を搭載

「Hyper Vision HPV-X2」2台を接続することで、2台の撮影タイミングを正確に同期させて撮影を実行できます。この機能により、被写体の変化を2方向から同時に観察できます。また、市販の画像解析ソフトウェアを使用して被写体の変化を3次元的に解析することも可能になります。

3. 世界最高クラスとなる1,000万コマ/秒の撮影速度と256枚の記録コマ数

本製品は、従来機同様、記録コマ数が多いHP(Half Pixel)モードと解像度が高いFP(Full Pixel)モードの2種の撮影モードを選択できます。HPモードは最高1,000万コマ/秒の撮影速度を有しており、記録コマ数は256枚、解像度は5万画素です。FPモードは最高500万コマ/秒の撮影速度を有し、記録コマ数は128枚、解像度は10万画素です。HPモードにおける最高1,000万コマ/秒の撮影速度と256枚の記録コマ数はそれぞれ世界最高クラスです。

高速CMOSイメージセンサFTCMOS2

高速度ビデオカメラHyperVision HPV-X2

問い合わせ先

東北大学工学研究科・工学部 情報広報室
TEL:022-795-5898
E-mail:eng-pr*eng.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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