2016年 | プレスリリース・研究成果
「タンスの中」から「電池の中」へ~大環状有機分子から全固体リチウムイオン電池の大容量負電極が誕生~
東北大学原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)の磯部寛之主任研究者(JST ERATO 磯部縮退π集積プロジェクト、東京大学大学院理学系研究科)、佐藤宗太准教授と折茂慎一主任研究者の共同研究グループは、全固体リチウムイオン電池の新しい負電極材料を開発しました。世界で初めて、「大環状有機分子がリチウムイオン電池負電極の好適材料となる」ことが示された研究成果です。この新しい分子材料(「穴あきグラフェン分子(CNAP)」)は、汎用されている黒鉛(グラファイト)電極の2倍以上もの電気容量を実現し、その大容量は65回の充放電後にも保たれました。共同研究グループは、分子材料内に精巧につくりこんだ細孔が、大きな電気容量の秘密であることを解き明かしました。新材料のもとは防虫剤として良く知られた「ナフタレン」。それを化学の力により「大容量電池のための材料」に変換できることが示されました。わが国が最先端の研究力を誇る有機化学の力により、近い将来、高性能電池のための分子材料が自在に設計されることを期待させる成果となります。
研究成果は、国際学術雑誌スモール誌(Small)に5月13日(中央ヨーロッパ夏時間)に掲載されました。
世界で初めて大環状有機分子を電極に使った全固体リチウムイオン電池
問い合わせ先
《研究に関すること》
東北大学原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)
主任研究者 磯部 寛之
Tel: 022-217-6160
Email: isobe*m.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
准教授 佐藤 宗太
Tel: 022-217-6160
Email: satosota*m.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
《報道に関すること》
東北大学原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)
広報・アウトリーチオフィス
Tel: 022-217-6146
Email: aimr-outreach*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)