2016年 | プレスリリース・研究成果
ビスマス単原子シートの超伝導体化に成功-新たな超伝導体発見手法として期待-
東北大学大学院理学研究科の福村知昭教授、清良輔大学院生(東北大学大学院理学研究科、東京大学大学院理学系研究科)らは、ビスマス層状酸化物の新超伝導体を発見しました。
原子層のブロックが積み重なった構造をもつ層状化合物では、銅酸化物や鉄系化合物に見られる高温超伝導のような特異な物性が期待されることから、層状化合物の新しい超伝導体の探索がさかんに行われています。新しい超伝導体の発見は、新たな現象や別の新超伝導体の発見につながる可能性があります。
本研究グループは、これまで超伝導を示さないと考えられていたビスマス層状酸化物を超伝導化することに成功しました。この物質は、単原子の厚さのビスマスのシートと絶縁体酸化物ブロック層からなる構造をもち、ビスマスの単原子シートが超伝導状態になっていると考えられます。通常の化学組成では超伝導は発現しませんが、酸素を過剰に導入してビスマスの単原子シートの間隔を拡げることで、超伝導が発現します。
今回の成果により、同様の手法で他の層状化合物を超伝導体化することへの活用が期待されます。また、原子番号が大きくスピン軌道相互作用の大きいビスマスが超伝導を示すことから、量子コンピューターに活用できる特異な超伝導状態の発現の可能性があります。
本研究は、東京大学大学院理学系研究科化学専攻の長谷川哲也教授、東京工業大学科学技術創成研究院フロンティア材料研究所の川路均教授と共同で行ったもので、JSTの戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)「元素戦略を基軸とする物質・材料の革新的機能の創出」研究領域(研究総括:玉尾 皓平 理化学研究所 研究顧問/ グローバル研究クラスタ長)の助成を受けています。
本研究成果は、平成28年8月19日(英国時間または米国東部時間)に米国化学会誌「Journal of the American Chemical Society」のオンライン速報版で公開されました。
本研究で扱ったY2O2Bi(右)と高温超伝導体BaFe2As2(右)の結晶構造
問い合わせ先
<研究に関すること>
東北大学大学院理学研究科 化学専攻
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Tel:022-795-7719
Fax:022-795-7719
E-mail:tomoteru.fukumura.e4*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
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東北大学大学院理学研究科
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E-mail:sci-pr*mail.sci.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)