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青色光受容体が光合成にブレーキをかけることを発見 ~青い光が光合成装置を守る~

基礎生物学研究所の皆川純教授、得津隆太郎助教と、フランス国立科学研究センターのジョバンニ・フィナッチ博士、東北大学大学院生命科学研究科の丸山真一朗助教らの国際共同研究チームは、緑藻クラミドモナスにおいて、青色光受容体が光合成にブレーキをかけることを発見しました。

植物は、光のエネルギーを利用して二酸化炭素を固定し糖を合成します(光合成)。そのため、強い光の方がより光合成をすると考えられがちですが、実際には強すぎる光は光合成装置を壊してしまいます。この危険を避けるため、植物は強い光を浴びたときには、そのエネルギーを熱に変換してわざと逃がすガス抜きのしくみを発達させました。qEクエンチングと呼ばれる、このブレーキ役のしくみは、環境が変動する中で植物が生き残るために必要であったと考えられています。これまでqEクエンチングの詳細は謎に包まれていましたが、今回、これまで光合成とは直接関係ないと思われていた青色光受容体の一つフォトトロピンが決定的な役割を果たしていることが明らかになりました。その結果、これまで個別の現象と考えられていた、青色光の受容、光合成、光防御が実は分子レベルで繋がっていることになり、環境変化がおきた際の細胞中の一連の反応の流れの全体像が見えてきました。

今後は、生育環境が整った圃場では、より光合成を進める側に反応のバランスを傾ける、あるいは砂漠地帯の池のような過酷な環境でエネルギー藻類を培養する場合は、より光合成を抑える側に反応のバランスを傾けるなど、光合成反応調節技術への発展が期待されます。

本研究成果は、英国の科学誌『Nature』の電子先行版(2016年9月14日付)に掲載されました。

本研究によって明らかになった光合成の負のフィードバックのモデル図

問い合わせ先

東北大学生命科学研究科
生物多様性進化分野
助教 丸山真一朗
E-mail:maruyama*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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