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白亜紀末の巨大衝突クレーターの形成過程を解明

メキシコ・ユカタン半島の地下奥深くには、直径約200kmの白亜紀末(約6600万年前)の巨大衝突クレーター(チチュルブ・クレーター)が埋没しています。このクレーターを形成した天体衝突は、恐竜等の大量絶滅の引き金となったと考えられています。しかし、この衝突クレーターは地下約数百mの深さに埋没しているため、これまで構造や形成過程がわかっていませんでした。今回、国際深海科学掘削計画(IODP)の第364次研究航海"チチュルブ・クレーター掘削計画"により、ピークリングと呼ばれる巨大衝突クレーター特有の構造に狙いを定めて、特定任務掘削船を用いて掘削が行われました。その結果、地下約618 mの深度から衝突起源の堆積物が、748 mの深度からは基盤岩(花崗岩)が発見されました。今回、この結果と数値計算を組み合わせることにより、チチュルブ・クレーターのピークリングの形成過程の解明に成功しました。日本からは、日本地球掘削科学コンソーシアムの支援を受けた後藤和久(東北大学)、佐藤峰南(海洋研究開発機構、以下「JAMSTEC」)、富岡尚敬(JAMSTEC)、山口耕生(東邦大学)の4名が研究に参画しています。この成果は、米国科学振興協会が発行する科学誌サイエンスに11月18日付(日本時間)で掲載されました。

今回の発見により、衝突の規模や放出エネルギー等を詳細に計算できるようになります。そして、衝突に伴う環境変動の影響を高い精度で推定できるようになり、恐竜をはじめとする生物の大量絶滅を引き起こすメカニズムの解明につながると期待されます。また、巨大天体衝突は太陽系の惑星や衛星の形成初期から頻繁に起きている事象です。今回世界で初めて巨大衝突クレーターの形成過程が物証を伴って明らかになったことにより、地球初期生命の進化、金星や火星、月等の形成史の理解にもつながると考えられます。

衝突メルト角礫岩(J. Morgan氏提供)

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問い合わせ先

東北大学災害科学国際研究所
准教授 後藤和久(ごとうかずひさ)
E-mail:goto*irides.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

東北大学災害科学国際研究所 広報室
中鉢奈津子(ちゅうばちなつこ)、鈴木通江(すずきゆきえ)
TEL:022-752-2049
E-mail:koho-office*irides.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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