本文へ
ここから本文です

肺移植後の拒絶反応、閉塞性細気管支炎の原因となる新たな分子の発見 ‐臓器移植拒絶反応を防ぐ新薬開発へ期待‐

 閉塞性細気管支炎は、肺移植後の拒絶反応に伴う疾患で術後死亡の主要原因です。閉塞性細気管支炎には、T細胞が重要な役割を担っていると考えられているものの、T細胞の免疫反応のみではこの疾患を説明できず、他の機構の存在が示唆されていました。今回、東北大学加齢医学研究所の川上徹博士研究員、小笠原康悦教授(生体防御学分野)、岡田克典教授(呼吸器外科学分野)らのグループは、NK細胞が活性化受容体NKG2Dを介して気管支上皮細胞を傷害することが、閉塞性細気管支炎発症の原因となっていることを発見しました。
 実験動物モデルを用いて異所性気管移植を行ったところ、同種異型移植においてNK細胞が集積することを見出しました。そして、NK細胞を除去したり、細胞傷害性にかかわる分子であるパーフォリンを欠損させた場合には閉塞性細気管支炎は減弱しました。さらに、同種異型移植による移植組織の変化を調べたところ、気管支上皮細胞にNKG2Dリガンドの発現上昇が認められ、NKG2Dを介したNK細胞の活性化によって、移植組織の傷害が引き起こされ細気管支炎の閉塞を引き起こすことが明らかとなりました。加えて、抗NKG2D抗体の投与により、閉塞性細気管支炎の発症が抑制されたことにより、NKG2Dは拒絶反応の治療標的の1つであって、抗NKG2D抗体は、臓器移植拒絶反応を防ぐ新薬となりうると期待されます。
 この成果は米国移植学術誌での論文掲載に先立ち、2月27日(米国東部時間)に電子版で公開されました。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学加齢医学研究所 生体防御学分野 
教授 小笠原 康悦(おがさわら こうえつ)
仙台市青葉区星陵町4-1
TEL:022-717-8579
E-mail:immunobiology*m.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学加齢医学研究所
広報情報室
仙台市青葉区星陵町4-1
TEL:022-717-8496

このページの先頭へ