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最近30年における日本語の色名語の進化を導出〜『青々とした緑』という日本語の表現の背景を解明〜

研究成果のポイント

  • 東北大学電気通信研究所の栗木一郎准教授らの研究グループは、日本人に共通する19色名の存在を確認し、30年前の同様の研究と比較し明確な増加が認められることから、日本語における色概念の表現の進化が今なお続いている事を明らかにしました。
  • 『青々とした緑』のような平安以前から継承されている表現に着目し、青と緑の区別がついている事を統計学的に立証するとともに、この日本語独特の言葉遣いの経緯についても明らかにしました。
  • 人間の最も基本的な視覚情報である色の情報がどのように脳内で形成され、個人差や言語差の影響を受けている様子について、計算的・統計的手法を用いて可視化できる事を示しました。
  • この研究成果には、視覚メカニズムの解明に関する電気通信研究所の技術と基礎研究の知見が活かされており、人と人あるいは人とAIの間において、より質の高い意思疎通を可能とする情報通信技術の実現に示唆を与えるものと期待できます。

概要

色は視覚的な情報の中でも重要な要素で、例えば散乱する物のなかから目的の品物を見つける等の場面で、非常に有益です。人間の視覚は100万もの微細な色の違いを見分ける事ができると言われていますが、日常的に色について人と話をする際に、言葉として使われる色名は「赤」「緑」「青」「黄」など少数に限られています。これらの色名は言語の発達とともに変化し、日本語もその例外ではありません。日本語は、他の国々の言葉と同様に近代化された社会で使われていますが、その色名の語彙は現在も進化を続けています。この事実が、東北大学の研究者と東京工業大学・オハイオ州立大学などの研究者との共同研究により明らかになりました。

上段は今回実験に使用されたカラーサンプル(有彩色320色+無彩色10色)。下段は今回の研究で抽出された日本語の色カテゴリー。緑と青の間に見られる水色の領域が、30年前の研究と異なり、98%の実験参加者が青/緑と明確に区別して「水(色)」と呼んだ色カテゴリー。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

東北大学電気通信研究所
准教授 栗木一郎
教授  塩入 諭
電話:022-217-5470、 022-217-5469
E-mail:ikuriki*riec.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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