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国際陸上科学掘削計画(ICDP):南アフリカ金鉱山の大深度からの地震掘削調査の開始~世界初の地震の震源近傍の掘削調査を目指す~

南アフリカ金鉱山の地下3kmの坑道などの付近で起きる微小~中規模の3つの地震の震源断層を直接調査する科学掘削計画(以下「DSeis(ディーサイス)計画」)が3月下旬から始まる予定です。この計画の筆頭は立命館大学の小笠原宏教授で、国際陸上科学掘削計画(ICDP: International Continental Scientific Drilling Program)に採択された日本主導のプロジェクトとしては4例目です。計画参加者は、9ヶ国42名の研究者です。

南アフリカ金鉱山の採掘域は非常に深いため、掘り残された岩盤には大きなひずみが生じ、微小~中規模の地震が頻発します。DSeis計画の掘削対象の断層は、長さが100m~5kmと自然大地震のそれに比べ小さなものです。しかし、これらの地震は、地下深くまで広がる坑道沿いに整備された地震観測網の近くで発生したため、岩盤の破壊がどのように広がったかが詳細に解析されています。また、余震活動も克明に記録されています。DSeis計画では、これらの地震の破壊開始点や停止域、余震域を十数カ所掘り抜いて、震源断層とその周辺の応力・物性・ダメージを直接調査します。また、掘削孔内に超高感度地震計を設置して、詳細な余震分布を明らかにします。これらを統合して、アスペリティの実体は何か、あるいは、断層面上で余震活動の活発なところと低調なところの違いは何かを、世界で初めて明らかにすることを目指します。

アスペリティが破壊すると強い地震動が生成されるので、自然大地震の災害ハザード評価においても、その実体の理解は極めて重要です。DSeis計画では、対象とする地震の規模が小さいとはいえ、これまでなかなか手が届かなかったアスペリティ本体を掘り抜いて、その実体を明らかにすることができます。このため、DSeis計画は、地震災害ハザード評価の高度化にも貢献できると期待されます。

なお、本計画については、3月21日にイイノホール&カンファレンスセンターにて開催されるIODP・ICDP成果報告会「地球を掘ってみえたこと これまでの成果とこれから目指すもの」でもご紹介します。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

【研究に関すること】
東北大学大学院理学研究科
附属地震火山噴火予知観測センター
准教授 矢部 康男(やべ やすお)
TEL:022-795-3893

東北大学 流体科学研究所
教授 伊藤 高敏(いとう たかとし)
TEL:022-217-5234

【報道に関すること】
東北大学大学院理学研究科
特任助教 高橋 亮(たかはし りょう)
TEL:022-795-5572、022-795-6708
E-mail:sci-pr*mail.sci.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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