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不揮発性メモリー等の性能向上に不可欠な 強磁性体中の磁化ダイナミクスの仕組みを解明-磁気デバイス高性能化の大幅な前進に期待-

東北大学電気通信研究所(通研)の岡田篤博士後期課程学生(日本学術振興会特別研究員)、同学原子分子材料科学高等研究機構(WPI-AIMR)の松倉文礼教授、同学通研の大野英男教授(兼同学WPI-AIMR、同学省エネルギー・スピントロニクス集積化システムセンター、同学スピントロニクス学術連携研究教育センター、同学国際集積エレクトロニクス研究開発センター)のグループは、シンガポール南洋理工大学のChristos Panagopoulos教授のグループ、日本原子力研究開発機構先端基礎研究センターの前川禎通センター長のグループと共同で「強磁性体(磁石)薄膜中の磁化運動に影響を与える散乱機構」を明らかにしました。

研究グループは強磁性共鳴法という手法を用いて界面磁気異方性を有する強磁性体薄膜中の磁化の散乱機構の解明に取り組みました。共鳴スペクトル線幅が温度の上昇に伴い先鋭化する振る舞いを観測し、「モーショナル・ナローイング(運動による線幅の先鋭化)」と呼ばれる機構が散乱の性質を決める主要な一因となっていることを示しました。この機構は、電子スピン・核スピンの散乱に対する重要な機構として以前から知られていましたが、本研究により強磁性体中の磁化運動に影響を及ぼすことが初めて明らかになりました。

本研究で用いたCoFeB/MgO接合は、不揮発性磁気メモリーの材料として最も注目を集めている材料です。この材料系を用いた素子動作の理解と高性能化に加え、様々な材料系の性質の理解に繋がることが期待されます。本研究成果は、米国科学アカデミー発行の機関紙「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America(米国科学アカデミー紀要)」のオンライン版に、3月20日からの週に掲載予定です。

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27℃ (左列)と-269℃ (右列)における強磁性共鳴スペクトル: 上段はCoFeBの厚さ2.6nmの試料、下段はCoFeBの厚さ1.5nmの試料に対する測定結果。CoFeBの厚さが薄い試料ほど、スペクトルの線幅が広い。CoFeBが厚い試料ではスペクトル線幅は温度にほとんど依存せず、薄い試料では温度低下によって線幅が大きく拡がる。

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問い合わせ先

(研究について)
東北大学原子分子材料科学高等研究機構(WPI-AIMR)
教授 松倉文礼
Email: f-matsu*wpi-aimr.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
TEL: 022-217-5554

(報道担当)
東北大学原子分子材料科学高等研究機構(WPI-AIMR)
広報・アウトリーチオフィス 清水修 
Email: aimr-outreach*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
TEL: 022-217-6146

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