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反強磁性体スピンの反転に必要な電圧を大幅低減―交換結合ヘテロ構造電圧書き込み磁気記録デバイスに道筋―

発表のポイント

  • 漂遊磁界を発生しない反強磁性体スピントロニクスが注目を集めている
  • 強磁性体と反強磁性体の交換結合ヘテロ構造薄膜磁化の反転メカニズムを解明
  • 反強磁性体スピンの反転に必要な電界を2桁低減することに成功
  • 磁化の電圧制御を用いる超低消費電力磁気記録デバイスへの適用に道筋

概要

 内閣府総合科学技術・イノベーション会議が主導する革新的研究開発推進プログラムImPACT(プログラム・マネージャー:佐橋政司)の一環として、東北大学大学院工学研究科の佐橋政司教授と野崎友大准教授らは、クロム酸化物の反強磁性スピンの向きを低電圧で180度反転させることに成功し、反転に必要な電界の大きさを2桁低減する技術を開発しました。本研究成果によって、数十ナノメートルのクロム酸化物反強磁性体薄膜を用い、1V以下の低電圧で反強磁性スピンを反転させることが可能となり、スピンの電圧制御を用いた反強磁性体スピントロニクスの超低消費電力磁気記録デバイスへの適用が現実的になりました。本研究の成果を磁気メモリやハードディスクドライブなどに適用することにより、漂遊磁界の抑制による高記録密度化や書き込み時のジュール発熱の抑制による、より一層の低消費電力化が期待されます。

 研究の内容は2017年6月2日に「Japanese Journal of Applied Physics Rapid Communications」誌に掲載されます。本研究は、内閣府革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)「無充電で長期間使用できる究極のエコIT機器の実現(佐橋政司プログラムマネージャー)」の一環としてなされたものです。

図. クロム酸化物の電気磁気効果を用いた反強磁性スピンの反転と強磁性体への転写の模式図。永久磁石で印可した磁界と平行または反平行に電界を印可することで反強磁性スピンの向きを制御することができ、反強磁性スピンの向きは交換結合を介して隣接する強磁性体の磁化の信号として読み取ることができる。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

<研究に関すること>
東北大学大学院工学研究科
担当:佐橋政司(教授・リサーチプロフェッサー)
〒980-8579 仙台市青葉区荒巻字青葉6-6-05
電話番号:022-795-5203
E-mail:sahashi*ecei.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

東北大学大学院工学研究科
担当:野崎友大(准教授)
〒980-8579 仙台市青葉区荒巻字青葉6-6-05
電話番号:022-795-7067
E-mail:nozaki*ecei.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

<報道担当>
東北大学工学研究科・工学部情報広報室
〒980-8579 仙台市青葉区荒巻字青葉6-6-4
電話番号:022-795-5898
E-mail:eng-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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